MONKEY MAJIK×渡辺俊美 対談「震災後は『何のために歌うか』を考えるようになった」

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「ライブというより、ホームパーティーの感覚でやっている」(Blaise)

――音楽が人の気持ちに与える影響があると思います。実際にパフォーマンスをするなかで、あらためて音楽の力を実感することはありますか。

tax: バラードを歌ったときに涙を流している方をみると、この人の人生のどこかにこの曲が染み渡っているんだと思います。すごくうれしい反面、「この人に何があったのだろう」って考えてしまう。そうやって人の心を揺さぶれるようなものを残せたことは素晴らしいと思うし、今になって作品を大事にしてくれるファンのありがたみを感じています。

Blaise: そういうアットホームな雰囲気があるよね。ライブというより、ホームパーティーの感覚でやっている(笑)。僕たちがやりたいことをみんなが分かってくれていると思うけど、最近はより近くになっています。MCも前より長くなりましたね。いろんな質問も出てくるし、ちゃんと答えていきたいと思えるようになって。ちょっと年取ったのかもしれない(笑)。多分時間が経っているから「ファン」から「友だち」になっている。それは大事にしたいですね。

渡辺: MCはやっぱり長くなっていきますね。僕よりもずっとハードコアなバンド、例えばBRAHMANなんかも、すごく長く話すようになっていて(笑)。でも、キャリアを積むというのはたぶんそういうことで、パフォーマンスも含めて“次の段階”に進んでいるんだと思う。僕らもいい大人で、ごまかしがきかない年齢になると、「ヒット曲ばかりやって、楽しければいい」ということじゃなくなってくる。もちろん、シリアスな話ばかりというのも嫌だから、「今日ははしゃごうぜ!」というのも全然アリなんだけど、そこは緩急というか、一緒に楽しんだり、一緒に悲しんだりするのが大切なんだと思います。例えばラブソングで涙を流して、それで何が解決するわけでもなけれど、心に抱えたものを発散して、がんばろうと思う人もたくさんいる。どんなジャンルでも、どんなにくだらない歌でも、音楽に罪はなくて、誰かは喜んでいる。自分自身が音楽に助けられたので、音楽にちゃんと寄り添って、恩返しがしたいなと思っています。

――さて、MONKEY MAJIKは来年15周年の節目を迎え、さらに精力的な活動が期待されています。

渡辺: そうか、もうベテランの域なんだね。ギターで言えばヴィンテージだ(笑)。

tax: そうですね(笑)。節目の年として、みなさんに大きく感謝する場を設けたいと思います。武道館ライブもあるし、これまでも沢山コラボレーションしてきたアーティストもいるので、大きいパーティーをやりたいなと。

Blaise: 簡単に言うと、MONKEY MAJIKの“大感謝祭”ですね。「みんな、こんなことあったの覚えてる?」って。この間、10年くらい前に録ったテープを見つけたんですけど、最高にダサくて(笑)。

tax: それと、MMMの第六弾で、今度はそば猪口の形をしたグラスを作っているんです。仙台のガラス工房とのコラボレーションで、広瀬川の砂を使ったものです。会津の染め物を使ったものも準備しているので、ぜひ楽しみにしていてもらいたいですね。

渡辺: 僕も山元町の人たちにミサンガを作ってもらったり、津波で流されてしまった仙台のTシャツ工場にSOUL SETで頼んだりしていています。大事なのは、やりたいけれど、やれていないことを実現していくこと。復興というより、新しい提案をする気持ちで、いろんなことに取り組んでいきたいですね。

Blaise: いつか、一緒におもしろいコラボレーションをしましょう!

(取材=神谷弘一/撮影=竹内洋平)

■リリース情報
『You Are Not Alone』
発売:9月10日(水)
価格:CD+DVD ¥1,800(税抜)
   CDのみ ¥1,000(税抜)

<CD収録内容>
01.You Are Not Alone
02.Written In The Stars
03.You Are Not Alone -Instrumental-

< DVD収録内容>
01.You Are Not Alone -Music Video-

『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』
発売:2014年4月30日
価格:1,500円+税

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