ももクロ、モー娘。から、リリスク、ベルハーまで…動員力から考察するアイドル界の現在

リリスク、ベルハー、ゆるめるモ!…リキッドルーム級の増加はインディーズアイドル希望の象徴

 Zepp&青年館級(約1200~2700人)では、日本人ガールズグループとして史上最速となる「メジャーデビュー後4カ月半」でZeppツアーを発表した、東京パフォーマンスドールに要注目だ。異例の出世スピードだが、一度ステージを観れば誰もがその理由に納得できるはず。以前当連載でもその魅力を詳述した(参照:初代から受け継ぐ、東京パフォーマンスドールの先進性とは? 楽曲とライブから読み解く)。

 その他、中野サンプラザ(約2300人)のアップアップガールズ(仮)、TSUTAYA O-EAST(約1300人)のEspeciaも、早いスピードで規模を拡大させている。

 そして、武道館に続いて注目すべき会場は、恵比寿・LIQUIDROOM(約900人)。ゆるめるモ!、バニラビーンズ、BELLRING少女ハート、lyrical schoolなど、バニラビーンズを除けば、ほとんどが大手ではない事務所に所属しているグループだ。これは芸能界的な力や資本力に頼らなくとも約1000人の規模には到達できる、ということを意味している。地下アイドル、インディーズアイドルの可能性と希望を象徴する事象だ。

BiS横アリ成功は"アイドルファン"の増加を証明している

 最後にBiSについて。7月に横浜アリーナでラストライブを開催し、約8000人を動員、解散した。事前には、普段の集客力(例えば13年10月の両国国技館でのワンマンは関係者を入れて約4000人とされている)を考えると成功は難しいという下馬評が多数だったが、実際には大成功。これには、先に述べた「アイドル」というジャンル自体のファンが増加したことが影響したのではないかと、筆者は推測している。BiSは元々、アイドルカルチャーをメタ的な視点で捉えた展開を行うことを活動の肝としていた。「解散」すらメタ化して集客の材料とし、「アイドル」というジャンルに揺さぶりを掛けるような、"アイドルファン"の琴線に触れるような展開を数多く行って来た。結果「アイドルファンなら観ておかなければならない」という意識を強く喚起し、解散ライブという演出も加わり、アイドルファン全体の"お祭り"のようなイベントにまで昇華できたのではないだろうか。8月に開催された国内最大規模のアイドルフェスである『TOKYO IDOL FESTIVAL 2014』の動員数は2日間でのべ4万1282人だったと発表されている。この数字も「アイドルファン」の増加を証明している。

 このように2014年の上半期はアイドルファンの増加と、アイドルというジャンル、カルチャーの世間への定着がさらに進んだ期間だったといえるだろう。今後もこの傾向はより強まって行くに違いない。

■岡島紳士(おかじま・しんし)(@ok_jm)
1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』『アイドル楽曲ディスクガイド』など。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」のアドバイザーと、会期中に行われた全9回の番組&イベントMCを担当。DVDマガジン『IDOL NEWSING vol.1』を手掛けている。
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