SGチャート上位を男性グループが独占 B.A.Pの“郊外ヤンキー”路線は他に波及するか?

 グループの方向性としては基本的にヒップホップをベースとしている、という説明が正しいのだろうが、しかしこのグループが面白いのは、ヒップホップと言っても今どきのめっちゃカッコいいヤンキー的なスタイルなのである。日本でのヒップホップは不良をベースにしていても、なぜか日本古来の土着の不良=ヤンキー性を脱臭する傾向にあって、言葉の格闘技を謳うようなアレだったり、昔はヤンチャしたけど今では家族と仲間に感謝するようなソレだったりする。今週3位に入っているEXILE系なんかもまあその範疇にあるものだと言っていいわけだが、これもまたPV等をみればわかるようにゴールドチェーンは付けていてもポスト不良、大人としての洗練カジュアルが基本なのである。

 ところがB.A.Pは悪ガキとしての不良スタイルが残されている、というかそのままであり、ファッション的にも郊外ヤンキーノリが感じられるし、曲調もとりあえずベタにぶち上げていくところが面白い。こういうヤンキーmeetsヒップホップみたいな発想は、たしかに氣志團のヤンクロック以上に親和性が高そうなわけで、今まで日本でなかったのが不思議なほどである。

 K-POPの男性グループは近年、純朴かつ清潔なキャラクター付けが多く見られるようになっていて、B.A.Pだって実際にトークすれば純朴なパーソナリティを見せてくれるに違いない。しかし他のグループではビジュアル展開や曲調も含めて「不良」を巧みに「セクシー」へと置き換えるようなイメージ操作が行われがちだった。B.A.Pはヤンキー的な不良っぽさが強調される結果になっている。そこがいいのだ。これは日本の男性アイドルにも見られる問題で、ジャニーズでもKAT-TUNが何とかダークさを標榜して見せた以外は、往年のアイドルのような親しみやすい不良っぽさはさりげないものにされ、隠されがちである。B.A.Pみたいなグループが上り調子なら、この先の男性アイドルの状況はもうちょっと多様化してくるかもしれない。

■さやわか
ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』『一〇年代文化論』がある。Twitter

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