チームしゃちほこ、デビュー1年で武道館達成 ローカル・アイドルが一気に人気を得た理由とは

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神殿を模したセットには、花火やポップアップなど、様々な仕掛けが施されていた。

 しかしながら、彼女たちの魅力はなにも、エッジーな音楽性や際立ったコンセプトだけではない。序盤の3曲が終わり自己紹介が始まると、メンバー1のひょうきん者でありながら、実は涙もろい安藤ゆずが早くも「この景色が見たかった……」と言葉を詰まらせる。その表情がスクリーンにアップで映されると、ファンからは「頑張れ!」とエールが送られた。ごく普通の高校生でもある彼女らが、あっという間に大きなステージへと上り詰め、そのプレッシャーと向き合うというストーリーもまた、ファンの共感を呼ぶのだ。そのMCは時に拙く、時に突拍子ないが、しかし等身大の10代のリアリティがあり、応援せずにはいられないものがある。

 その後「いいくらし」「首都移転計画」「colors」とアルバム収録曲をたて続けに披露したメンバーは、その勢いのまま「大好きっ!」「でらディスコ」とライブ定番曲を熱唱、ステージ脇に設置されたリフトに乗り、ファンに手を振って歓声に応えた。

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空中でポーズを決める秋本。楽しそうな表情が印象的だ。

 中盤では、センター秋本帆華がソロ曲「おっとりガールの憂鬱」を歌い上げる。秋本の歌声は真っすぐに澄んだ響きを持ったロリータ・ボイスで、ユニゾンの中でも通りやすく、チームしゃちほこ特有のサウンドにも大きく影響している。子どもが歌う童謡のようなどこか懐かしい響きを、ファンはじっくりと聴き入った。

 16曲目「そこそこプレミアム」からはROLLYが再び登場。秋本帆華はワイヤーによるフライングに挑戦し、武道館の宙を舞う。特に臆することもなく、いつもの笑顔で飛翔する秋本の姿に、チームしゃちほこならではの“ゆるさ”を感じて微笑ましかったのは、筆者だけではないだろう。センターでありながら誰よりもマイペースで、どこか飄々とした彼女の存在は、チームしゃちほこのスタンスを象徴しているようだ。誰もが笑顔でその姿を見守っている。

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この日の武道館はサイリウムの光に包まれ、一体感に満ちていた。

 その後「トリプルセブン」「抱きしめてアンセム」とアッパーな楽曲を全力でパフォーマンスし、メンバーは一度ステージを後にした。アンコールで再び登場すると、チームしゃちほこ初となるバラード曲「明け星」をスタンドマイクでしっとりと歌いあげ、その後、ラストの定番となっている「マジ感謝」「ごぶれい!しゃちほこでらックス」を続けて披露、ファンと一体となって盛り上がり、武道館公演は幕を閉じた。

 ライブの最後には、2015年の年明けに愛知県体育館で「鯱詣」と題された単独ライブを行うことも発表されたチームしゃちほこ。エッジーでユニークな楽曲群と、エンターテイメント性が高いパフォーマンス、そして名古屋在住の普通の高校生ならではのアイドル性をかね揃えた彼女たちの勢いは、今後さらに増していきそうだ。

(文=松田広宣)

※記事初出時、情報の一部に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。(編集部)

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