syrup16gの復活が支持される理由とは? 一貫した音楽的特徴を分析

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 syrup16gが、2008年3月1日の解散から6年の時を経て活動再開。8月27日にフルアルバム『Hurt』をリリースした。

 彼らにとって復活作となる『Hurt』は、先行でMVが公開されたメッセージ性の強い楽曲「生きているよりマシさ」や、2003年の『HELL-SEE』を思い出させる「stop brain」などを収録。バンドの魅力が衰えていないことを感じさせる一枚となっており、復活を待ちわびていたファンからは喜びの声が上がっている。

 熱心なファンや影響を受けたバンドマンも多いことで知られるsyrup16g。彼らが今なお支持される理由を、音楽ライターの麦倉正樹氏は以下のように分析する。

「彼らがインディーズのアルバム『COPY』で世に出てきた当時、どこか途方に暮れたような楽曲『生活』でその名が知れ渡ったため、その後も“聴き手の喉元にナイフを突き立てるような歌詞”の印象が強いリスナーも多いと思います。しかし、彼らの魅力は歌詞だけでなく、その音楽性にあります。ほとんどの楽曲でギターにカポタストを使用し、マイナーコードを多用するのが五十嵐隆(ボーカル)の手法。エンジニアに『五十嵐くんは不協和音の概念がないね』と言われたという逸話もあるほど、クセのある演奏をすることで知られています。しかし、歌とメロディの美しさで、リスナーにはその部分を大きく感じさません。彼の演奏は、少し陰のあるテイストを絶妙に演出することに成功しており、脆さや危うさ、ローファイな印象よりむしろ、五十嵐が好きだと公言するニューオーダーのような鋭さのあるサウンドとなっています。この特徴的なサウンドこそ、熱烈な支持を集める一番の理由ではないでしょうか」

 また、新作『Hurt』については、活き活きとした彼らの本質を垣間見ることができる作品だと語る。

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