RIZEのKenKenらも注目する打首獄門同好会 “生活密着型ラウドロック”のルーツと魅力とは?

140820_uchikubi_a2.jpg

 

「自分のなかに何かブームが起こるの待ちみたいな(笑)」

――打首の曲は、大きく分けると何パターンがあって。まずは食べ物の歌、そして日々の生活の歌、あとは……。

大澤:『水曜どうでしょう』の歌ですね(笑)。まあ、食べ物の歌は、やっぱり作りやすいというか、自ずと自分のなかでブームが起きるので。たとえば、今回のベスト盤にも入っている焼き鳥の歌(「ヤキトリズム」)を書いた頃は、もう朝、市場に鳥を買いに行って、自分で串を刺して、それを河原に持っていって焼くぐらい、空前の焼き鳥ブームが俺のなかに訪れていたんですよ。

――串に刺すところから?

大澤:そう。で、それを食べながら芋焼酎を飲んでいると、すごいロマンを感じるんですよね。で、しばらくそのブームが続いたから、それを歌にしてみようと思って。そう、最近はちょっと空前のそばブームがきそうになっていて。

――まさか自分で打ったり?

大澤:まだ自分では打ってないんですけど、そろそろ打とうかなと(笑)。歌にする場合はやっぱり、ある程度いってから作りたいんですよ。だから、ちょっと旅に出て、本場のそばを食べ歩いて、それから今度は自分で打って……そこまで行ってからじゃないと、曲にしたくないんですよね。二郎の歌(「私を二郎に連れてって」)を作るときも、ある程度体重が変わるぐらいまで二郎を食いまくってから作りましたから。

――(笑)。そこまでやった上で書いているからこそ、歌詞に説得力があるのですね。

大澤:結局、こういう歌詞の方向性に行ってしまったがゆえに、歌詞に入れている思いが本物になってしまったというか(笑)。だから、決してうわべだけじゃないんですよね。食べ物の歌を作った場合は、その食べ物はひと通り通ったんだなって思ってもらって結構です。

――食べ物の歌と言えば、うまい棒の歌(「デリシャスティック」)が、ひとつブレイクポイントになったようですね。

大澤:そのへんがひとつ転機になったというか、そのへんで悪ノリが固まった感じはありますね(笑)。そう、その歌を作ってから、ライブ会場でうまい棒を配り始めて、お客さんがうまい棒を振るようになったんです。それでだんだん、“うまい棒のバンド”と言われるようになって……。この曲は、ここ数年、ライブでやらないことがないくらいの定番曲なんですけど、最大千本配りましたからね。まあ、千本と言っても、予算一万円ですけど。

――いずれにせよ、大澤君の感情に火がつかないと歌詞が生まれないわけですね。

大澤:確かに、その縛りはありますね。自分のなかに何かブームが起こるの待ちみたいな(笑)。あと、テーマが決まっても、方向性が決まらないこともあって。さっき言った、そばの歌にしても、ただ“そば”を連呼しているだけでは成り立たないわけじゃないですか。そばの種類を言うのか、そばの歴史や味のうんちくから攻めて行くのか……そう、二郎の歌を作るときも、二郎の店舗がある場所を並べるっていう方向も、選択肢としてあるにはあったわけです。

――まあ、わかりやすいところでは。

大澤:でも、そうじゃなくて、二郎に行きたいんだけど、勇気を出せずに行けないっていう方向にして……それは実際、友だちでいたんですよね。二郎の話をすると、今度連れっててよって言われるんです。行きたいけど、ひとりじゃいけないみたいな。だから、そっちを題材として引っ張ってきたっていう。

――それはそれで共感値が高かったんじゃないですか?

大澤:いわゆる“あるある”を引っ張ってきた感じですね(笑)。そこを意識したのは、「まごパワー」という曲の存在が結構大きくて……厳しかったおやじが、孫ができるといきなりデレデレじいちゃんになるっていう歌なんですけど(笑)。それがものすごく“あるある”だっていうか、うちのおやじもそうみたいな話が、ある程度の年代から結構入ってきて。息子、娘、甥、姪ができたあたりの年代から、「これ、超わかる」みたいなことを言われて、これはありだなって。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる