『怒られたい』で話題の吉木りさ 天性のグラドルが持つ音楽活動の可能性とは?

イメージDVDが大ヒット AKB48ブームの中での奇跡のブレイク

 2010年3月に『キャンパスナイトフジ』が終了するのと同じタイミングで、イメージDVD『セキララ*彼女』(晋遊舎)を発売。清純なルックスでありながら、水着の面積の小ささやポージングの過激さが話題となり、売り上げが上昇。ロングセラーとなり、最終的に1万2千枚の大ヒットを記録した。また、続く同年9月発売の『セキララ*彼女2』も同数程度、12月発売の『神降臨-セキララ*彼女 番外篇-』も1万枚のヒットを飛ばし、グラビアアイドルとしてトップの人気を獲得するに至った。Amazonでもこのシリーズ作が長らくランキングの上位に君臨し続けるなど、当時AKB勢が席巻するグラビア界でほとんど唯一ブレイクできたグラビアアイドルだったといえる。

 ブレイク以降はテレビ出演などで知名度を上げながら、2012年3月には、ついに歌手活動を再開。シングル『Destin Histoire』とアルバム『Poche』をyoshiki*lisa名義でリリースした。

前山田健一プロデュースで歌手活動を本格的に再開

 さらに同年8月には、ヒャダインこと前山田健一プロデュースにて、吉木りさ名義に戻して『ボカロがライバル☆』を発売。声を加工してボカロっぽくしてみたり、演歌調に歌ったりと、前山田らしい賑やかな曲になった。歌詞はアイドルやアニメが好きな彼女のオタク気質な部分にフォーカスを合わせたような、自己紹介的な側面もあるものだった。c/wに実際に有名なボカロPである八王子Pにプロデュース曲「Sweetie*Girl」を入れたのも面白い試みだった。

 同年12月にリリースした同じく前山田プロデュースによる『世界は教室だけじゃない』は、ロック調のサウンドに吉木の孤独だった中学時代の気持ちをストレートにぶつけた楽曲。彼女の内面に迫る歌詞で、新たな魅力を引き出すことに成功していた。

ボカロがライバル☆ / 吉木りさ

 吉木はアイドル(ももクロやでんぱ組)やマンガやアニメなどが好きだったりと、オタク的なものやネットカルチャー的なものと親和性が高い。グラビアアイドルとしては不動の地位を築きメジャーな存在になったものの、しかし冒頭で紹介した番組のような、深夜番組的なもの、サブカル的でマイナーなものとの相性が、いまだにかなり良いのだ。前山田健一が楽曲に関わり出して以降は、歌手としてもそうしたパーソナリティに沿った展開でオリジナリティを模索し始めたものの、まだまだ成果を残せる可能性を残しているはず。より吉木の持ち味を生かしたような、今後の音楽活動を期待したい。

■吉木りさ(よしき・りさ)
1987年7月27日生まれ、千葉県生まれ。身長:162cm。B80、W59、H88。趣味:アニメ。スキル:民謡、三味線。フィットワン所属。
オフィシャルTwitter

■岡島紳士(おかじま・しんし)(@ok_jm)
1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』『アイドル楽曲ディスクガイド』など。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」のアドバイザーと、会期中に行われた全9回の番組&イベントMCを担当。DVDマガジン『IDOL NEWSING vol.1』を手掛けている。
オフィシャルサイト

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