変化し続けてきたバンドflumpool 「みんながいなかったら音楽をやってる意味がない」

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 デビューから5周年を迎え、ベストアルバム『The Best 2008-2014「MONUMENT」』をリリースしたflumpoolが、4月19日の福岡サンパレスホテル&ホールを皮切りに開催している全国ツアー『flumpool 5th Anniversary tour 2014「MOMENT」』。その締め括りとなるアリーナスペシャルが8月9日、10日に横浜アリーナにて行われた。8月23日、24日の大阪城ホールでのライブを残すものの、関東ではファイナルと言えるライブである。

 ベストアルバムリリース後のツアーということもあり、「花になれ」や「君に届け」といった代表曲を次々と披露。それらはドラマ主題歌やCMにも起用され、flumpoolが世間的な認知度を高めた楽曲でもある。当然、イントロが流れた瞬間には大きな歓声、熱気が会場を包んだ。演出面では巨大スクリーンを設置し、オープニングからレーザーやスモーク、炎などを駆使し、サブステージも設置されているほどの豪華さ。5周年という祝福ムードも相まって、温かくも熱いライブが繰り広げられた。

 配信デビュー作となった「花になれ」から大型タイアップが付き、デビュー1年後には武道館公演、紅白歌合戦にも出演し、5年を迎えた今回は横浜アリーナと大阪城ホールで2デイズワンマン……これまでの軌跡のトピックスだけ並べると、華やかで順風満帆なキャリアに見える。しかし、flumpoolの歩んできた道は必ずしも平坦ではなかった。

 リアルサウンドで以前掲載したインタビュー『flumpool山村隆太は何を乗り越えてきたか「デビュー時、バンドに実像がないと感じていた」』では、初の武道館での印象を「どう歌って何をしゃべったのか、全然覚えてないんです」と語っていた。つまり、当時は地に足が着いた活動ができていなかったというのだ。だが、この日の山村は違った。キラキラした目でステージを全力で駆け巡り、観客の熱量を高めたかと思うと、目を見開いて鬼気迫る迫力の表情で歌い、会場中の視線を釘付けにする。それぞれの曲において表現の形は違えど、覚悟を込めてパフォーマンスしていたのだ。

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 演奏面も充実していた。基本的にはflumpoolのメンバー4人+サポートのキーボード、バイオリンによるアンサンブルで、オープニングで鳴らした爆音から、力技でオーディエンスを引っ張っていく。その引き締まったサウンドに、ロックバンドとしての風格のようなものを感じたのは筆者だけではないだろう。

 そして、2009年の武道館以降にリリースされた楽曲「残像」「Because…I am」の「大切なモノの無い日々を 人は生きれないんだよ」「あるがままに生きればいい」という歌詞からは、flumpoolのこの5年間における精神面の変化も感じることができた。それは、アンコールで山村が語った「みんながいなかったら音楽をやってる意味がない」という言葉に象徴されていたように思う。この日のライブでも見られた、1万人を越すファンの笑顔。山村はこれまでのライブでファンの笑顔としっかり向き合ってきたからこそ、楽曲作りに情熱を燃やし、パフォーマンス力を磨くことができたはずだ。この日のライブは、自らを鍛え上げ、変化し続けてきたバンドflumpoolだからこそ成功に導けたライブだと言っていいだろう。

(文=高木智史)

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