デビュー25周年の遊佐未森が語る、歌い続けることの意味「いつも新しいものを届けたい」

「コンサートのいろいろなポイントで、自分として実験してる」

――コンサートやライヴについてはどうでしょうか? 常に歌い続ける、演奏し続けるということを重視されてると思うんですけども。

遊佐: そうですね。歌をステージ上で歌うことって、ファンの人とその場を共有して世界を作るっていうことなんですよね。そのひと時が見てくださる方にとって素敵なものになっていったらいいなって思いでコンサートをやっている。そこの場所がいいものになるために毎日があるみたいな感じですよね。

――続けられてきた秘訣のようなものはありますか。

遊佐:私の場合、歌い過ぎても声が枯れることがなかったんです。たとえば風邪をひいて声が出なくなることはあったけれど、歌い過ぎて喉を壊したことはない。そこは自分にとっては砦みたいなものになってますね。「そこがあるから大丈夫!」って。今回もコンサートで3時間ずっと歌ってたんですけど、最後終わった時には「もっと歌いたい」という気持ちになっていた。そこは感覚としてあってよかったなっていうところではありますね。

――「café mimo」でのアコースティックのスタイルもあり、今回の渋谷公会堂のようなバンドセットもあり、また秋には天文台ライブもあるわけですよね。そういう、様々なスタイルでライヴをやるというのはどういう思いからなんでしょうか。

遊佐:やっぱり、お客さんにいつも新しいものを届けたいっていう思いが強いんです。私らしいもの、私にできる面白いもの、特徴的で個性的なものを作りたいという思いがある。それが、そういういろんなライヴスタイルになっていくんだと思います。同じ曲をやったとしても、会場によって、一緒にやるメンバーによって変わっていきますし。そうやって新しいことをやればやるほど、自分に返ってくるものもすごく大きいですし、次どこに踏み出すかを決める道標になる。やっぱりステージに乗ること自体が毎回チャレンジなので、そこによりアクセントを付けていくっていうのがあるんでしょうね。ハードルを上げてしまう(笑)。

――そういった意味では、この渋谷公会堂のライヴは次に向かってのどんなチャレンジに繋がりましたか?

遊佐: ここで歌った「潮見表」という曲がありまして。この曲は25周年のために新しいアレンジをしてもらって、いろんな形のものを見ながら、ああでもないこうでもないと言って、辿りついた曲なんです。まったく元とは違うサウンド形態なんだけど、メロディーとか歌の世界観が持ってるものっていうのは、よりリアルに今回のヴァージョンは届けられたような気がしています。そういう風にコンサートのいろいろなポイントで、自分として実験してるようなところがありますね。

――ちなみに、この先に「こういう面白いことをやりたい」というアイディアはありますか?

遊佐: それは企業秘密(笑)。いや、でも仙台市天文台での天文台コンサートも私は今回5回目なんですけど、始めた頃はクラシックの方がされていて。でも、今はいろんな方々がやられるようになっているし、そういうことが広がっていのが自分にとっても面白いし、道が見えるようなところがあって。そういうのは、いいなと思っています。

――25周年という一つの節目を超えて、この先もずっと歌い続けていくという意識も強いでしょうか。

遊佐: 昨日も、友達のミュージシャンの女の人と「これから先も歌っていかないといけないもんね、私達」みたいな話をしてたんです。そのために、いろんな風に身体をケアしていくことも大事だねって話をしていたんです。

――声を出すとか歌うってすごく身体を響かせるってことですもんね。

遊佐: そうですね。ほんのちょっとしたことで声って変わるし、ノリが悪くなるんです。そういうメンテナンスとかケアとか使い方みたいなところは非常に勉強になった25年だったと思いますね。でも、まだまだわからないことはいっぱいあるから、これからもっといろんなことがわかっていけたらいいなって思います。

(取材・文=柴那典)

■リリース情報
『mimo-real songs』
発売:2014年6月25日
価格:¥4,200(本体価格)+税

<収録内容>
1. Prologue
2. 瞳水晶
3. 暮れてゆく空は
4. 水夢
5. poetry days
6. 天使のオルゴオル
7. 地図をください
8. 僕の森
9. 通り雨
10. 潮見表
11. ハープ
12. 街角
13. Dance
14. Floria
15. 夏草の線路
16. 窓を開けた時
17. ロカ
18. オレンジ
19. 欅~光りの射す道で~
20. ラジオスターの悲劇 (encore)
21. 0の丘 ∞の空(encore)

<出演>
遊佐未森(vo)
・Member
渡辺 等(b)、今堀恒雄(g)、佐野康夫(ds)、渡辺シュンスケ(key)
・Guest
栗コーダーカルテット(栗原正己、川口義之、近藤研二、関島岳郎)、ほか

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