TOKIO、10年振りALチャート1位に ロック・ボーカリスト長瀬智也の才能に改めて注目

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今年、ジャニーズとしては初の夏フェス出演が決定しているTOKIO。

参考:2014年07月14日~2014年07月20日のCDアルバム週間ランキング(2014年07月28日付)(ORICON STYLE)

「ほー、TOKIOって、まだアルバムチャートで1位獲ることができるんだ!」という素朴な感想がつい口から出てしまう今週のチャート。今週1位のTOKIO『HEART』は「デビューから2013年までの楽曲の中からファン投票によって選出された楽曲を収録したオールタイム・コンピレーションアルバム」というコンセプトによる2枚組の20周年盤。新曲も2曲収録されていますが、要はベスト盤です。ちなみにその前にTOKIOがアルバムチャートで1位を獲った作品は、10周年盤としてリリースされたジャニーズ・クラシックの数々をカバーしたアルバム『TOK10』。つまり、本作『HEART』はアルバムでは10年振りの1位ということになります。

 先週末のJOIN ALIVEで初のロックフェス出演を果たし、来月にはSUMMER SONICへの出演も控えているTOKIO。なにしろメンバー5人が全員作詞作曲を手がけることができるというビートルズも真っ青(マジメな話、そういうバンドは本当にごく僅かしかいません)なTOKIO。今回の『HEART』にも、それぞれ長瀬智也と城島茂が作詞作曲した新曲のほか、各メンバーが作詞や作曲をした楽曲が多数収められています。その知られざる音楽通ぶりについては以前のこの記事(参考:ジャニーズ初、サマソニ出演決定のTOKIO ロックバンドとしての「実力」は?)にも詳しいですが、とっておきのエピソードを一つ。

 以前、曽我部恵一に取材をしていた時、憧れているアーティストについての話になって、そこで彼が名前を挙げたのが長瀬智也だったんです。「ボーカリストとして日本で一番憧れるのはTOKIOの長瀬智也さん」。その言葉を聞くまで、そういう耳でTOKIOの曲を聴いたことがなかったのですが、言われてみて「はっ!」としましたね。長瀬智也の歌声って、確かにメチャクチャ伸びが合って、それでいて微妙にかすれてて、声量もやたらでっかい。まさに、彼はロックンロールを歌うために生まれてきたようなシンガーなんですよね。中島みゆき、椎名林檎、YUKIと、これまで錚々たるアーティスト、それもこれまで男性アーティストにはあまり曲や詞を提供してこなかった女性アーティストがTOKIOに曲や詞を提供してきましたが、その理由の一つには、「あの歌声で自分の歌詞を歌ってほしい」という女性ならではの「疼き」のようなものがあったのでは? なんて、つい想像してしまいます。

 来月のSUMMER SONICで彼らのステージを目撃する機会がある人は、「日本の音楽界が誇るスーパーボーカリスト擁する5人組バンド」という観点からTOKIOを見てみたら、新しい発見があるかもしれませんよ。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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