HINTOを支える伊東真一の“歌う”ギタープレイ そのエフェクティブなサウンド構造とは

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 デビューアルバム『She See Sea』からは約2年ぶり、間にシングル+DVD『AT HOME DANCER』や、group_inouとのスプリットシングルを挟み、HINTOのセカンドアルバム『NERVOUS PARTY』が完成した。前身バンドであるSPARTA LOCALSから引き継がれたポストパンク/ニューウェイブをベースとしつつ、「夏」をコンセプトにスタートしたバンドだけに、サーフ/トロピカルのテイストも盛り込み、さらにはディスコやソウルといったブラックミュージックの要素も併せ持った、実にオリジナルな快作に仕上がっている。

 ここではそんなHINTOの音楽性の鍵を握るギタリスト、伊東真一のプレイに注目してみたい。SPARTA LOCALS時代から、髪を振り乱して自身のプレイに没入する姿が非常に印象的だったが、伊東はSPARTA LOCALSと並行して、downyのリズム隊を中心としたプログレインストバンドfresh!にも参加。さらにSPARTA LOCALS解散後は、fresh!と同じリズム隊を擁する日暮愛葉のLOVES.のサポートを務め、さらには木下理樹と日向秀和というART-SCHOOLの盟友が結成したkilling boyにも参加するなど、武者修行とでも言わんばかりの様々な活動を経て、現在では独創的なプレイスタイルを確立させている。その特徴を端的に言うならば、エフェクティブなサウンドと歌いまくる裏メロ。そして、それを言い表す形容詞としては「素っ頓狂」が一番しっくりくるように思う。

HINTO 『シーズナル』

 ステージ上での伊東と言えば、ずらりと並んだエフェクターがトレードマークであり、ディレイ、リバーブ、フィルター、ワーミーペダルなどを駆使して、カラフルなサウンドを次々と繰り出していく。『NERVOUS PARTY』においても、オープニングの「かなしみアップデイト」からして、フェイザーのかかった伊東のギタープレイで始まっていて、ほぼ曲の主役と言ってもいいぐらいの重要な役割を果たしている。また、『She See Sea』のときは、「バイトさん」でまるでスティールパンのような音色をギターで出していたが、本作でも「ウォーターランド」で高音を効かせた涼しげな音色を作り出し、一方「シーズナル」ではJCのツマミのみで作ったような、クリーンかつ艶やかなサウンドを披露。アルバム終盤の9曲目「はんぶんゾンビ」で初めてストレートに歪んだ音色が出てくるぐらい、とにかく音色は豊かで、そしてその多くがやはり「素っ頓狂」。スクラッチのようにも聴こえるが、トム・モレロのようなシャープさはまるでなく、奇妙な質感の「テーブル」でのプレイは、その代表格と言えよう。

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