9mm Parabellum Bulletが10年で到達した場所とは?「ロックの水を求める人たちに道を作っておく」

かみじょう「対バンは「槍と剣が戦う」から面白い、みたいなノリで、学ぶことも多い」

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――これまで9mmは、いろいろなバンドと共演してきましたが、これは意識的に選択してきたことでしょうか。

菅原:「対バンしよう」って誘ったり誘われたりするときには、よっぽどスケジュールが難しくない限りはやってきました。だから対バンに力を入れてきたっていうより、自然なことですね。そもそもはライブハウスで1バンドだけでライブできないからね。最初から300人のファンがいるバンドはいないわけで、最初はバンドで対バンして、それぞれに10人くらいお客さんがいてっていう小さいシーンから始まります。俺らずっとお客さんいなかったねえ(笑)。

かみじょう:いなかったねー(笑)。

菅原:だから他のバンドとやるのは自然なことだと思っています。必ず何かを得られるし、向こうも何か影響を受けるし。CDを出すようになってからは自分が尊敬しているバンドとやることが多くなっていますけど、そもそも昔は街のライブハウスで、お互いにどこの馬の骨ともわからない同士でやるわけじゃないですか?そういうときはもう「俺達が一番かっこいいんだ」っていう気持ちでやっていました。そうじゃないと良いライブにならないと思うし、そういう中で良いバンドとも出会えると思います。よく「ガチンコ勝負」って言うし。シーンって、作ろうとして作れる人もいると思うけれど、だいたいは後から発見するものだと思います。「あのへんで面白いことが起きてるらしい」って、気がついたらできてる、みたいな感じだと思うんです。観に行ってるお客さんも最初からお客さん同士でつながりがあるわけじゃないだろうし、「シーンが生まれる最初は、3000人や300人の前では起こらない。20人くらいの前で起きる」っていう話を聞いたことがあります。とにかく、当時自分たちが感じていたことは、the telephonesとかミドリとかといっぱい対バンして楽しかったな、という感じです。何かを作ろうっていうんじゃなくて、「やっと気が合う仲間と出会えた」という感じかな。

――音楽的な方向性は違っても気が合う、という感じですね?

かみじょう:異文化コミュニケーションみたいな感じですかね。みんな同じ方向見ていたり同じ武器で戦っていても面白くないじゃないですか?「槍と剣が戦う」から面白い、みたいなノリで、学ぶことも多いです。バンドによって、ピークの持ってき方や空気感の作り方も全然違うので、見ていて「あれ真似しよう」とか「あれはかっこ悪いわ」とか、本当にいろいろあります。

――卓郎さんの「シーンは後から発見する」という言葉が印象的でしたが、自分たち以外を取り巻く環境の変化はどう感じていますか?

菅原:僕らが結成してからこの10年間で、解散したり活動休止したバンドもいます。逆にユニコーンみたいに復活してドーンとツアーを回るバンドもいます。あんまりリスナーと変わらない気持ちで見ていますね。ただその中でバンドをやっているだけです。あんまり気にしていないです。ただ、お客さんも含めて、シーンについて話す人がいるけれど、自分たちがシーンであることをわかっていないんじゃないかな、と思うことがありますね。シーンって言うときには自分たちも含まれるということを。それから、全員ってわけじゃないけど、ライブの見方が画一的になっているような気がします。音楽全部そうですけど、例えばモッシュとかダイブとか、ある時代に生まれた誰かの価値観のはずで、それを借りてやってるんです。うまく言えるかわからないけど、「音楽に対する反応はそれだけじゃないのにな」と思うことがあります。ただモッシュしたい、ダイブしたい、暴れたい、というだけだったら人集めてラジカセ持って公園でやったっていいじゃないですか?生の人間が演奏しているということを忘れて、ただ曲が流れているものとしてライブを観ているのかな?と思うときはあります。フェスも見ていると、「君たちが見にきているアーティストはもっといろんな世界、いろんな楽しみ方があるもっと素晴らしいものを表現しているんだけどな」って感じることがあります。でもそれは自分たちがコントロールしきれるものではないし、せめて俺達が演奏しているときには、そういうことが起きてほしくないので、一層気合入れて演奏しています。

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