WEAVERが振り返る、音作りに賭けた5年の日々「楽器の満ち引きのような面白さを出したい」

「亀田誠治さんからはプレイ面で無駄をなくすことを学んだ」(奥野)

――杉本さんがそのときに掴んだピアノの持ち味とはどんなものですか?

杉本:やっぱり、コードもベースもメロディも弾ける、という風に、一台でいろいろなことができる多様性だと思います。それをバンドで証明したかったので、そういうものをクリアできたのがこのイントロだと思います。

――一方、当時の奥野さんと河邉さんはそれをどう捉えましたか?

奥野:正直、最初はどうしたらかっこよく響くかわからないところがあったんですけど、迷ってたというよりは、それを探求するのが楽しくてしかたなかったです。

河邊:アレンジも最初とは全然違うものになりましたね。3人で作り上げていくのが楽しかった。

奥野:デモは鼻歌とピアノだけで、リズムもなかったので、Bメロでハーフにしたり、間奏でキメを作ったり、というところでひとつひとつのアレンジを3人で作り上げていったし、ひとつひとつが発明だった印象があります。

――そして2010年の「Hard to say I love you ~言い出せなくて~」から、亀田誠治さんのプロデュースになります。次のターニングポイントはこの曲でしょうか?

杉本:そうですね。

――この曲はラテン由来のダンステイストがあり、コード進行の時点で杉本さんが普段あまり書かれないマイナーコードの使い方で面白いですが、どういう風に作っていったのですか。

河邉:この曲は、ドラマ主題歌のタイアップをいただいていたのですが、最初はピアノのメロディだけの状態でした。バンドアレンジもそこからでしたし、同時にかなり初期の段階で亀田さんが関わっています。

杉本:ラテン調のリズムもそうですけれど、昔のトレンディドラマにハマるようなポップさを持ちつつ、スリル、切なさや痛みを楽曲で表現して欲しい、というリクエストがありました。元々僕がつけていたコードを亀田さんが変えた部分もあって、Bメロのメロディとコードの絡み具合は、なかなか自分では作れないと感じています。

――そういう意味で、亀田さんから学んだこと今でも残っているものはどんなことですか。

杉本:亀田さんのポップセンスです。聴き手がどこでどう感じるか、ということを、ちゃんと楽曲や構成で導くのは亀田さんからすごく学んだことです。そのための必然性について考えるようになりました。例えば漠然と「イントロ → A → B → サビ」という構成にするのではなく「なぜこの構成にする必要があるのか」「どうしたらサビが一番きれいに山場になるのか」「なぜここでこのプレイをするのか」というようなことです。「Hard to say I love you ~言い出せなくて~」のサビ前の仕掛けなどは、今までの自分たちだったら作れなかったものです。

奥野:僕はプレイ面で無駄をなくすことです。インディーズのベーシストによくある「たくさん動くのがかっこいい」というようなところがデビューしたての頃には残っていました。でも例えば「一番聴かせたい動きがあったら、その前は動かないことが大事」というようなことを、上手なアドバイスの仕方で導いてくれました。

河邉:僕は歌詞のことではすごくアドバイスをもらいました。たくさん書いて、そして見てもらう中で、「自己満足な歌詞で、結局伝わらなかったら意味がないんだよ」ということも教わりました。「多くの人に届くものは何か?」ということを、亀田さんと出会って考えるようになれました。

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