LEGO BIG MORLの独自性は”1フレーズの強さ” ダンスミュージックに接近した新曲を分析

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 昨年2月のタナカヒロキのバイク事故によって、活動休止を余儀なくされていたLEGO BIG MORLが再始動。1月22日に配信&ライブ会場限定盤シングル『Wait?』を発表し、その2日後に恵比寿リキッドルームで復活ライブを敢行すると、3月にはflumpoolやONE OK ROCKらを擁するA-Sketchへの移籍を発表すると共に、lego big morlからLEGO BIG MORLへと表記変更、4月30日に移籍第一弾シングルとなる『RAINBOW』を発表する。

 2006年に結成されたLEGO BIG MORLは、the band apartやACIDMAN、ザ・ストロークスなど、00年代のロックを洋邦問わず吸収してアンサンブルを組み立て、そこにカナタタケヒロによる広がりのあるメロディーを乗せることによって、大衆性と革新性を併せ持つ、現代における新王道とも言うべきバンド像を作り上げてきた。新曲「RAINBOW」は、タナカの怪我によって4人でのセッションが不可能だったため、プロツールス主体の曲作りを進めた結果として生まれた、トランシーなダンスミュージック寄りの一曲であり、明確な新境地を示した楽曲だと言える。

 ただ、ちょっとうがった見方をしてしまうと、現在の日本のバンドシーンにおいて、「ダンスミュージックとロックの融合」ということで言えば、サカナクションという絶対的な指標がいるわけで、そことの比較は免れない。しかし、LEGO BIG MORLとサカナクションがはっきりと異なるポイントとして、LEGO BIG MORLのメンバーがとりわけダンスミュージックのリスナーではないということが挙げられる。彼らはやはりあくまでもロックバンドで、常に追求してきたことは“1フレーズの強さ”であり、「RAINBOW」にしても、その進化形と言っていいと思うのだ。

 これまでのLEGO BIG MORLにおける”1フレーズの強さ”を最も体現していたのは、サウスポーのベーシスト・ヤマモトシンタロウのリフ。再始動の一曲目となった「Wait?」においても、ヤマモトの弾く食い気味のベースリフを軸に、そこにギターの単音フレーズが絡むことで、独特のタイム感を生み出しているのが印象的だ。ヤマモトは活動休止中に「Bass Line Channel」をYouTubeに開設し、そこで「Wait?」はもちろん、「ワープ」や「Ray」といった過去の代表曲も含め、LEGO BIG MORLの曲のベースラインについて解説をしているので、ぜひそちらも見ていただきたい。

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