デビュー10周年のBerryz工房 「異端のアイドルグループ」が愛され続ける理由とは?

踊る阿呆だけど、ただのバカじゃない

 鯛の着ぐるみ姿で歌い踊り、コント風の寸劇を交える。そういったコミカルさも彼女たちのコンサートの大きな魅力であり、そのセットリストやイベント内容までメンバーが提案している。その演出は一見自由奔放に見えることもあるが、各メンバーのキャラを活かした設定と工夫が凝らされており、独創的なセルフプロデュース能力を発揮していることが伺える。だからこそ、ファンも彼女たちに夢中になる。全力でふざけるメンバーと、それに全力で乗っかっていくファン。人気曲でもある『cha cha SING』で歌われる「踊る阿呆だけど、ただのバカじゃない」はメンバーだけでなく、ファンをも指す合言葉なのかもしれない。

Berryz工房「cha cha SING」フラッシュモブ (屋内編Full ver)

 そんなアイドルらしからぬ、掟破りな面を語られることの多いBerryz工房ではあるが、ステージで満面の笑みを浮かべながらキラキラと輝く彼女たちの姿は、紛れもなくアイドルである。

Berryz工房 『すっちゃかめっちゃか~』

 また、努力や苦悩、それにまつわる葛藤といった“物語性”が注目される近年のアイドル界において、彼女たちは「努力は語るモノじゃ無い、感じるモノ」と言わんばかりに裏側を見せることはない。それは時代が求めるものとは逆行することなのかもしれないが、そこにはアイドル以前にプロの表現者としての姿勢が伺える。

 現在、女性アイドルはその成長過程における一瞬の輝きを追い求められることが一般的になっている。しかし一方で、結婚、出産を経た今なお、アイドルとして崇められる松田聖子のような存在もいる。男性アイドルグループには、年齢を重ねても親しまれるジャニーズがいる。女性アイドルグループにも、そんな風に末長く愛される存在がいても良いのではないだろうか。Berryz工房の10年は、これからの20年、30年への始まりでもあるはずだ。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

■関連サイト
Berryz工房10周年記念スッペシャルサイト
http://www.helloproject.com/berryzkobo/10thsp/

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