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柴那典「ロックフェス文化論」特別編 (インタビュー前編)

VIVA LA ROCKプロデューサー鹿野 淳が語る、ロックフェスの「物語」と「メディア性」

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メディアこそがフェスをやるべき、という設計思想

――ロック・イン・ジャパン・フェスティバルはどうでしょうか。鹿野さんは立ち上げメンバーとして構想段階から関わってきたわけですが。

鹿野:ロック・イン・ジャパン・フェスティバルに関しては、ロッキング・オン社がやっているわけですが、自分たちジャーナリストや音楽メディアという、お客さんと同じ目線でライヴを体験する人間ーー同じような交通手段で、同じような場所で見る人間がフェスをプロデュースすることに必然性があるんじゃないか?と思って始めたフェスティバルです。イベンター会社がやるフェスというのは、つまりは「ステージの裏側にいる人たち」がやるフェスなんですね。実際にコンサートやライヴの現場では、イベンターの多くの方は皆さんステージの裏側にいる。ステージ裏のプロなわけです。しかし、フェスというものはお客さんが主役であると開催側が言う。ステージ上のスターだけが主役ではないと。ならば、お客さん側のプロも必要だと。つまり、プロデュースする側がお客さんと同じ目線でいるということをフェス側が体現すべきだと。それを素晴らしい形で成功させたのがロック・イン・ジャパンですよね。

――フェスティバルを作ることもメディア活動の一環、延長上であるという意識も、最初からあったわけでしょうか。

鹿野:それは当然ありました。そうでなきゃ出版社がフェスを開催しないし、そこにアーティストも出演しないですよ。メディアこそがフェスをやるべき存在なのではないかという、このイデオロギーがあったからこそ、出版社が堂々とフェスを始めることができた。いまだに僕が自分で次々とこうやってロックフェスを開催している理由もそこにあるんです。

――その上で、ロックフェスというものに「物語」が必要だと考える理由はどういうところにあるんでしょうか。

鹿野:さっき話したように、2006、7年くらいから、ロックフェスがメディアであるということを、来てくれる人が自然体で考えるようになりました。言ってみれば、邦ロックという言葉があったり、4つ打ちの踊れるロックが日本のロックの主流になっているのは、フェスから生まれて来たブームですよね? そういうことが起こるようになってきたんです。ならば、こちらとしてはフェスというメディアのあり方をさらに考えていかなければいけない。ロックフェスは毎年開催するのが前提なので、つまりは毎年来てほしいわけですよ。出演者が誰であれ、毎年フェスに来てほしいんです。それにあたって考えなくちゃいけないことは、ローカリズムと、物語性。この二つが一番大事だと僕は考えています。例えば東京でやるにしても、「VIVA LA ROCK」のように埼玉でやるにしても、その場所のローカリズムがある。それが何なのかを試行錯誤して見つけて、お客さんに提供する。そこで地元の音楽祭としての位置づけをちゃんと浸透させるのが一つ。これが、フェスがそこの場所で長生きする、最大の秘訣だと思うんですよね。それとともに、惰性でなく毎年このフェスに来てもらうための固有のストーリーを作らなくちゃいけない。僕はそれがロックフェスというメディアが作る物語というものなんじゃないかなと思うんです。

――特に邦楽系のロックフェスにおいては、バンドやアーティストが成り上がっていく、小さなステージから人気を獲得していくのを体験するというところにストーリー性が生まれていると思っています。特にここ数年はそこにゲーム的な構造が生じているのではないかと僕自身は考えているのですが、どうでしょうか。
(参考:「”ゲーム化”する夏フェスで、Perfumeはいかにして勝ち上がったか」

鹿野:いや、それに関しては、柴君が言ったようなゲームという感覚で僕はやってないですよ。あなたも編集をやっていた方だからわかると思うんですけど、たとえば音楽雑誌の編集者がいいなと思う新人を見つけた、そしたらそのバンドに売れてほしいと思うし、そのバンドが売れる努力を自分がするし、それがユーザーとジャストなポイントで当たったら、自分のメディアとユーザーとアーティストが固有の関係を生みますよね。これはビジネスとしても、批評精神としても、最高の結果を生むわけじゃないですか。それをフェスでやってるだけです。

――なるほど。

鹿野:だから、そこにはゲームという余興の感覚がないっていうことは、まず強く言いたい。少なくとも自分にとってフェスで毎年お客さんと綴り合っていく物語は、とてもシリアスなものです。あと、もっと現実的なところで、なんで邦楽フェスが物語を作らなくちゃいけないのかというと、フェス毎に出演するアーティストが似てしまうからです。邦楽フェスのブッキングの対象がアイドルなどを含めて広がってきたにせよ、フェスに出たい側とフェスという現場が似合う音楽ジャンルには限りがある。これだけ全国で沢山のフェスが行われている以上、そして島国であるからにして海外のアーティストを呼ぶにはコスト面を含めてた難題が沢山ある以上、アーティストが似てしまうのは仕方ないことでもあるわけですよね。そうなった場合に、ブッキングだけではない魅力をフェスとして作らなければ楽しんでもらえない。それがインフラであり、プロデュースであり、フェスのストーリーをちゃんと作るということであるわけなんです。
(後編【「ロックのマーケットを再構築したい」鹿野 淳が新しいロックフェスで目指すものは?】に続く)

(取材・文=柴那典)

■ライブ情報
『VIVA LA ROCK』
開催日:2014年5月3日(土・祝)、5月4日(日・祝)、5月5日(月・祝)
会場:埼玉県 さいたまスーパーアリーナ

<5月3日出演者>
ACIDMAN / THE ORAL CIGARETTES / KANA-BOON / KEYTALK / キュウソネコカミ / くるり/ go!go!vanillas / SiM / SKA SKA CLUB / dustbox / 10-FEET / 東京スカパラダイスオーケストラ / NUBO / Northern19 / the band apart / BIGMAMA / The Flickers / BLUE ENCOUNT / MY FIRST STORY / and more

<5月4日出演者>
赤い公園 / ウカスカジー(桜井和寿&GAKU-MC) / エレファントカシマシ / 音速ライン / クリープハイプ / ゲスの極み乙女。/ SHISHAMO / スガシカオ / それでも世界が続くなら / 高橋優 / the telephones / 東京カランコロン / ドレスコーズ / パスピエ / Base Ball Bear / THE BAWDIES / UNISON SQUARE GARDEN / LAMP IN TERREN / and more

<5月5日出演者>
きのこ帝国 / サカナクション / Suck a Stew Dry / [Champagne] / SPECIAL OTHERS / cero / tacica / Czecho No Republic / Nothing’s Carved In Stone / HAPPY / ハルカトミユキ / フィッシュマンズ / The fin. / plenty / BOOM BOOM SATELLITES / 星野源 / POLYSICS / 森は生きている / LEGO BIG MORL / and more

・チケット情報
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※クレジットカード決済となります。

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【Pコード】
一日券:215-700
5/3・4〜 2日券:780-718
5/4・5〜 2日券:780-720
3日券:780-719

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一日券:215-700
5/3・4〜 2日券:71062
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3日券:71064

※チケット代のほか、各種手数料が必要になります。

『Getting Better Presents “VIVA LA ROCK PARTY”』

・VIVA LA OSAKA
開催日:2014年4月19日(土)
会場:TRIANGLE(大阪府)
OPEN & START 22:00

<出演者>
DJ:片平実(Getting Better) / 鹿野淳(MUSICA)/ w.NON, saki, 小村幸男
VJ:nao

・VIVA LA NAGOYA
開催日:2014年4月20日(日)
会場:cafe domina(愛知県)
OPEN & START 17:00 / CLOSE 22:00

<出演者>
DJ:片平実(Getting Better) / 鹿野淳(MUSICA)/ w.NOIRI, DCO, takumi, 栃沢康博
VJ:dragthink

・VIVA LA TOKYO
開催日:2014年4月26日(土)
会場:下北沢CLUB Que(東京都)
OPEN 23:30

<出演者>
Special Live:LAMP IN TERREN
DJ:片平実(Getting Better) / 鹿野淳(MUSICA) / 神啓文(Free Throw) / 西村道男(Nur.)
VJ:waY

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