デビュー10周年でさらにブレイクか JUJUの女性人気を分析してみた

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ニューアルバム『DOOR』が、オリコンウィークリーチャート2位を獲得したJUJU。

 移り変わりの激しいJ-POPシーンにおいては、ブレイクのきっかけをつかむのも容易ではないこと。そのうえで、一見さんではないファンを増やし、かつ長く愛されるアーティストとなれるのは一握りにすぎない。そんな中、ここにきて頭ひとつ抜け出てきそうな勢いを感じさせるのが、今年でデビュー10周年を迎えるJUJUだ。現在、新曲「Hot Stuff」を使用した資生堂マキアージュのCMが、民放各社でヘビロテ中。5枚目のアルバム『DOOR』も発売初週にオリコンウィークリーチャー2位にランクインしたほか、朝の情報番組から歌番組まで露出の機会も多いときている。これまで20代~30代の女性がメインだったファン層も一気に拡大しそうな予感だ。

 幼いころよりジャズシンガーを目指し、18歳で単身渡米したJUJU。NY仕込みの洗練された歌唱スタイルが話題を呼び、国内のほぼすべてのレコード会社からデビューのオファーがあったという。しかし、2004年にいざメジャーデビューしてみると、思ったよりセールスがふるわず約2年間リリースを凍結したこともあった。2006年に発表した『奇跡を望むなら... 』がヒットして以降は、順調にキャリアを重ねてきた彼女。バラード系シンガーは数多いる中で、なぜ彼女が支持されるのか。その理由は歌唱力や楽曲の良さに加え、彼女自身の人柄にもあるように思う。

 テレビやラジオ等で彼女の姿を見た/聞いたことがあるなら、気付いた人もいるだろう。とにかくトークがうまい。質問への切り替えしもさることながら、言いたいことを言えてる感が伝わってくる。自分を“だめんず”であるとする発言や、以前インタビューで語っていた「究極の幸せは、"確固たる経済力と、たまの優しさと、たまのセックス"だと思う」といった赤裸々な発言がまさにそれ。プライベートや恋愛観など、人によっては語りたがらない事柄も積極的に口に出す潔さがある。「晩酌はいつもウィスキーロック」といった発言に観られる男前な趣向とは裏腹に、料理好きだったり読書家だったりとギャップがあるのもポイント高し。さらには、年齢や本名を非公開としている点など、ミステリアスな演出も効いている。いい意味での場末感。気安さと近寄りがたさが混在するオトナの魅力、もとい“姐さん”キャラは、同じ系統の女性アーティストの中ではちょっとほかに思いつかない。女に好かれる女であること、それがJUJU最大の魅力であるように思うのだ。

 ほかにも、JUJUの人気を後押ししている要因として、映画『余命1ヶ月の花嫁』『ツナグ』、フジテレビ系のバラエティ『グータンヌーボ』、CM・花王「アジエンス」など女性ターゲットの商品・映画などとのタイアップ効果が挙げられるほか、過去には伊勢丹とコラボしたり、自身のブランドを運営するなどスタイリッシュなイメージも大きな強みに。J-POP好きするバラードだけでなく、ヒップホップからジャズ、ソウルと幅広い音楽性を持ち、ほかのアーティストとのコラボも盛んに行っている点でミュージシャン内での信頼も厚そうだ。

 さて、新曲「Hot Stuff」は自身初挑戦となるロックテイスト。バラードものにイマイチのれなかった層の取り込みは大いに可能だろう。加えて、今年はニューアルバムと10周年を記念したツアーも控えている。つまり、今が大ブレイクを果たす絶好の好機。いまだ出演経験のない年末の紅白歌合戦(一部では出演拒否しているとも言われているが)も手堅いと思うのだが、果たして……。
(文=板橋不死子)

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