実は男性読者向けだった!? 『anan』のアイドル特集号を読む

 ただし、そのほかの特集では「ニッポンの女性アイドルヒストリー」「初心者女子のための徹底解説カタログ」「アイドル戦国時代、次の次は誰だ!?」など、アイドルの歴史を振り返り、ネクストブレイク候補をデータ解説で挙げていく、王道パターンの構成となっている。あくまで“女性向け”をメインに作られている本特集だが、ひとつひとつの企画はやや手堅すぎる印象もあった。まどろっこしい言い方になるが、「本来男性がメインターゲットのアイドルを、あえて女性向けに特集したことの評価が気になる男性向け」の本になっている感もあるのだ。実際、発売後のTwitterでの反応の多くは男性からのもので、「自分たちの好きなアイドルが、女の子たちにはどう受け入れられてるのか?」といった反応。ネットで話題になることを前提としつつ、『anan』の男性読者獲得を目指した、したたかな特集…‥といえば穿った見方に過ぎるだろうか。

 アイドルの絶対数が増えるなかで、女性ファンの獲得はどのアイドルグループにとっても大きな課題。『anan』が先陣を切ったことで、他の女性誌でも新しい切り口のアイドル特集が組まれることに期待したい。
(文=椎名ゆい)

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