『ブリット・アワード』でワン・ダイレクションが2部門を受賞 英国が若手をプッシュする理由とは?

 イギリス最大のミュージック・アワード『ブリットアワード 2014』が、2月19日(水)に開かれ、アークティック・モンキーズとワン・ダイレクションが最多の2部門を受賞するなど、若手の台頭が目立った。

 受賞式は、アークティック・モンキーズのライブ・パフォーマンス「R U Mine?」でスタート。バンドはノミネートされていた最優秀グループと最優秀アルバムに選ばれた。彼らは2007年と2008年にもこの2部門を同時に受賞しており、これで両部門とも2度目の栄誉となる。ワン・ダイレクションには、受賞式が行われている最中のTwitter投票によって選ばれた最優秀ビデオ(「Best Song Ever」)と世界的な成功を称えたグローバル・サクセス・アワードが贈られた。グローバル・サクセス・アワードは、彼らにとって2年連続の受賞となった。

 最優秀男性ソロ・アーティストには、デヴィッド・ボウイが選ばれ、本人の代わりにケイト・モスが出席した。トロフィーを渡したのは、デヴィッド・ボウイの大ファンであるノエル・ギャラガー。彼が同賞を獲得するのは1984年以来2度目で、ブリット・アワード史上最高齢である67歳での受賞となった。また、最優秀ブリティッシュ・ブレイクスルー・アクト賞には、バスティルが、最優秀ブリティッシュ・シングル賞には、ルディメンタル feat.エラ・エア『Waiting All Night』が選ばれるなど、国内アーティストの受賞が目立った。

 この受賞者のラインナップに対し、海外の音楽事情に詳しいライターの麦倉氏は、次のように語っている。

「今回のブリットアワードは、少し前に開かれたグラミー賞とはまったく異なる面子となっていることから、イギリスとしてはそこに対抗するような形をとったのかもしれません。また、バスティルとEDMグループのルディメンタル feat.エラ・エアといった若手が選ばれているのも印象的です。彼らをデヴィッド・ボウイやケイト・モスといった、英国が誇るべきミュージシャンと同じ舞台に立たせることで、泊を付けようという狙いがあるのかもしれません」

 また、このような受賞傾向となったきっかけについては、「2012年のロンドン五輪の影響が大きかったのでは」と麦倉氏。

「ロンドン五輪で、国を挙げてアンダーワールドら大御所のミュージシャンにパフォーマンスをさせた結果、イギリスは世界中から大きな賞賛を得ました。そこで自国の音楽の価値を再発見した彼らは、輸出品としての音楽にさらなる国際競争力を付けようと考えたのでしょう。伸び盛りの若手をフックアップしていることからも、彼らを世界的に売り出していこうという意思が感じられます」

 現在、ワン・ダイレクションらの活躍により注目度が高まっているイギリスの音楽シーン。『ブリットアワード 2014』で、さらなる盛り上がりが期待できそうだ。
(文=編集部)

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