グラミー賞に見る世界の音楽界2大トレンド「米国以外出身」「インディー契約」

 インディーズミュージシャンが活躍できるようになった理由。そのひとつにソーシャルメディアによるプロモーションが挙げられる。テレビやラジオ、雑誌という媒体が、以前ほどの影響力を保てなくなっている一方で、TwitterやFacebook、YouTubeなどのツールを使えば、誰でも簡単に自分のメディアを持てるようになった。さらに、そこへリスナーの購買行動の変化も後押しする。以前であればレコード店でCDを購入しなければならなかったため、店頭でのプロモーションが非常に効果的であったが、現在ではiTunesでダウンロード、あるいはSpotifyのような音楽聴き放題ストリーミングサービスで、ワンクリックすればスマートフォンひとつでどこにいても楽曲を聴くことができる(ダフト・パンクの「ランダム・アクセス・メモリーズ」の発売初週売上33万9000枚のうち65%の22万1000枚がデジタルダウンロードによるものだ)。このようなデジタルによる流通は、ソーシャルメディアと非常に相性がいい。さらにウェブには国境がないため、ミュージシャンがどこの国を活動拠点にしていようが関係ない。良い作品を作れば売れる、全てのミュージシャンにフラットな環境が与えられ、それを反映したのが今回のグラミー賞の結果であったように思う。

 今後もインディーズに限らず、ミュージシャンの活動形態は多様化していくだろう。かつて存在していた「王道」が、失われつつある状況をどう受け止めるか。あまり悲観的にならず、あらたなビジネスチャンスとしてチャレンジするミュージシャンの活躍に期待したい。
(文=北濱信哉)

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