>  >  >  > クリエイター集団supercellの思想とは

さやわかの「プロデューサー列伝」 第7回:ryo(supercell)

初音ミクからイラストレーターまで総動員 音楽ユニットsupercellの新しさとは?

関連タグ
NUMB
MASSIVE ATTACK
さやわか
アブストラクト
プロデューサー列伝
ボカロP

 まもなくsupercellが2年8カ月ぶりにアルバムをリリースするという。読者諸兄がsupercellのことをどれだけご存じかわからないが、個人的な印象では、年長世代のリスナーにはこのユニットについて正確なところはほとんど知られていないように思う。

 supercellはコンポーザーのryoを中心とした音楽ユニットだ。「音楽ユニット」としか言いようがないのでそう書いたが、これは一般的な意味で言うそれとは、いろいろと違っている。最大の違いはCDジャケットなどを担当するイラストレーターやデザイナーが一員として名を連ねていることで、つまりこれは音楽とビジュアル、あるいはパッケージングまでを含めてひとつの表現活動として成り立たせているユニットなのだ。そもそもsupercellの中で音楽を担当しているのはryoだけである。

 「ryoだけ」というのも正確なところとは異なっていて、実際には彼は常に自らの楽曲を女性のボーカリストに歌わせている。だから歌い手として音楽に関わっているメンバーはいるのだが、しかし今のsupercellのやり方だと、ボーカリストはアルバムごとに変更される習わしになっている。そもそもsupercellには固定された「メンバー」と呼べる者がいるのかどうかも疑わしい。「グループ」とか「ユニット」と呼んでいいのかどうかもわからない。それぞれのボーカルはその時どきで個々のアルバムや楽曲を追求するために集合したメンツだし、それは前述のアートワーク担当者たちも同様だ。supercellとはひとつの曲、ひとつのシングル、ひとつのアルバムを単位にしてクリエイターが集まり、才能をぶつからせて爆発的な力を出すモーメントとして想定されていて、その思想がスーパーセル(超巨大積乱雲)という気象現象に擬えられている。

 こうした個性的な活動形態でありつつ、しかもsupercellがファーストアルバムのボーカルに選んだのは初音ミク、つまり機械音声、ボーカロイドというやつなのだ。そしてryoがsupercellを始めるきっかけになったのは、2007年に初音ミクを使った「メルト」という曲で、この曲はニコニコ動画のボーカロイドのシーンに最初のメガヒットをもたらした曲で、ネット上での累計再生回数は1300万回以上だとか言われている。

     
  • 1
  •  

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版