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Linked Horizon紅白抜擢で改めて注目 同人~ボカロシーンに広がる“物語音楽”とは?

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 第64回紅白歌合戦への出場決定で話題を集める、“リンホラ”ことLinked Horizon。音楽ユニット・Sound Horizonの主宰・Revoが他作品とコラボする際に使用する名義で、初の作品発表は2012年。アニメ『進撃の巨人』の主題歌「紅蓮の弓矢」「自由の翼」を収録したシングル『自由への進撃』で2作目となるが、20万枚以上のセールスを記録するという快挙を成し遂げた。

 Sound Horizonは2001年に同人サークルとして活動をスタートし、2004年にメジャーデビュー。“サンホラ”の愛称で親しまれ、過去には国立代々木競技場第一体育館でもライブを行うほど熱狂的なファンを抱えているが、お茶の間層への知名度はそう高くない。Revoへの取材経験もあるライター/物語評論家のさやわか氏に、どんな特徴を持つバンドなのかを聞いた。

「サンホラの楽曲の特徴は“物語を聞かせるための音楽”であるということ。アルバムは『ストーリーCD』と呼ばれ、1枚の中でお話が繰り広げられています。描かれるのは、RPGのようにファンタジー的な世界。最近では“ファンタジー”を広い意味で捉えており、10月にはハロウィンについて描かれたアルバム『ハロウィンと夜の物語』がリリースされました。謎や仕掛けのあるストーリーが多いため、物語について考察し、深く追求していきたいというリスナーにウケています」

 曲の途中でナレーションが入るなど、ミュージカルを思わせる作りになっているというサンホラの楽曲。音楽性はどうだろうか。

「まず、ゲーム音楽のようなセンスがルーツにある。そこにシンフォニックメタルの要素が加わり、さらに音楽性を豊かにするためにさまざまなジャンルを取り入れている。変拍子を使ったり、音数が多かったりと、音楽そのものとして捉えても聞きごたえがあると感じます」

 重なりのあるサウンドが魅力だが、それゆえの難しさもある。リンホラ名義での出演となる今回は「紅蓮の弓矢」を披露することが予想されるが、さやわか氏によると「音数が多く、バランスの調整が難しい楽曲。テレビの2チャンネルスピーカーで再現できるものではない」という主旨の発言をRevo本人がしていたという。

「サウンドの再現が難しい分、演出は凝ったものになりそうです。というのも、Revoさんはファンを驚かせる“いたずら好き”な面があり、これまでも歌詞カードに仕掛けを作ったり、ライブ中にファンにしかわからないメッセージを織り込んだりしてきた。紅白でも、予想を裏切り、期待は上回るステージを考えているのではないでしょうか」

 同人サークルからスタートして紅白へ出場するのは、偉業とも言える出来事。ボーカロイド・初音ミクの登場以降、個人や小集団での楽曲発表が盛んになっており、supercellや米津玄師など商業デビューを果たすクリエイターも増えた。現状、最も成功した例がサンホラと言えそうだが、今後“第二の星”として期待される者はいるだろうか。

「“物語を音楽に乗せる”という手法が定着しているという意味で、今のボーカロイドのシーンにサンホラの潮流を感じます。代表的な人を挙げると、『カゲロウプロジェクト』の自然の敵Pさんや、『悪ノシリーズ』の悪ノPさん。悪ノPさんは『ボーカロイドは、自分の表現したい物語を成り立たせるためのアクターである』という主旨の発言をしており、 “ボカロありき”ではなく、物語を伝えることを主の目的として楽曲を制作していることがわかります。リスナーのほうも、若い世代はとくに、“物語を届けてくれるメディア”として音楽を捉えている人が増えたと思います。そういう意味では、サンホラに時代が追いついてきた、とも言えるかもしれません。

 今回はリンホラとしての出演のため、楽曲はRevoさん独自の世界を描いたものではなく、『進撃の巨人』が元になっている。しかし『裏側に何かがありそうだ』と感じさせる仕上がりなので、母体であるサンホラに興味を抱く人も多いのではないでしょうか」

 サンホラをきっかけにして“物語音楽”に関心を抱き、同じ特徴を持つ他のアーティストにも目を向ける――という展開も、ありえない話ではなさそうだ。

 リンホラは紅白にて、50人以上のオーケストラと共に楽曲を披露する予定だという。迫力のあるステージを楽しむとともに、どこまで視聴者の心を掴むかも注目したいポイントだ。
(文=編集部)

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