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”反抗の教祖”は尾崎豊の一面にすぎないーー今こそ音楽家としての功績を振り返る

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 1983年12月1日にシングル『15の夜』とアルバム『十七歳の地図』でデビューした尾崎豊。彼のデビュー30周年を記念したベストアルバム『ALL TIME BEST』が11月27日にリリースされる。「若者の代弁者」「反逆のカリスマ」「10代の教祖」などと呼ばれ、管理教育や校内暴力など1980年台当時の世相と重ねて論じられることの多い尾崎。「盗んだバイクで走り出す 行き先も解らぬまま」(「15の夜」)「夜の校舎 窓ガラス壊してまわった」(「卒業」)といったフレーズはあまりにも有名だ。しかしミュージシャン・尾崎豊を語る上でそういった「反抗性」「自由への渇望」はある一面にすぎない。肥大したパブリックイメージから離れて純粋に彼の音楽に耳を傾けてみると、今なお色褪せない彼の残した数々の功績が見えてくる。

 尾崎豊の詞世界というと、先に述べたような反抗性をベースとしたものが取り上げられがちだ。しかしそれぞれの楽曲をみると、どれもが非常に端正で美しい日本語によって綴られているのがわかる。なかでも特徴的なのが、目に見える風景と心象風景とを織り交ぜながらの素直な自分語り。「人や車の流れを 自分のさみしさの様にみていた」(「ドーナツ・ショップ」)という詞は、ロックというよりはむしろ フォーク・ミュージックを思わせる。65年生まれの尾崎は70年代フォークに多大な影響を受けており、実際デビュー前には因幡晃の「ありがとうS.Y.さん」やさだまさしの「雨やどり」をコピーしていた (「7th Memorial 虹」収録)。フォークギターを片手に歌う尾崎をオーディションで観たプロデューサーの須藤晃はその第一印象を「井上陽水さんや岸田智史さんとか、そういう叙情派フォークに近い感じだった」と述べている(須藤晃「時間がなければ自由もない –尾崎豊覚書−」)。現在では一般的なものとなった文学的ロックを発展させた人物のひとりであり、ロックにフォークの文学性を大胆に取り入れたのが尾崎豊であった。

     
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