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山口真木のアイドル辛口批評

薬師丸ひろ子、佐々木希、新垣結衣…「女優の歌声」に学ぶアイドル歌謡の神髄

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 今回は「女優とポップ・シンガー」について書きます。

 まず、読者の皆様の中で、栗山千明の歌声を聴いたことのある方はいらっしゃいますか。女優として2000年の映画『バトル・ロワイヤル』でブレイク、モデルとしては90年代から活躍している彼女。歌手としてのイメージはあまりないかもしれませんが、10年にCDデビューしています。11年には浅井健一や椎名林檎といった筋金入りロック・スターのプロデュースでルーズかつキュートなシングルを連発。今年4月にリリースしたシングルではさらにエッジを尖らせて、激重ギター・リフでおなじみ、9mm Parabellum Bulletの滝善充をプロデューサーに迎えた超絶オルタナ・ロック・ナンバーを投下。さらに10月23日発売の新曲「0」はlalalarksが楽曲を提供したダブステップ・コンシャスなフィルターハウス歌謡で、これまた実に爽快な佳作です。どの作品も、クオリティの高い楽曲を女優ならではの豊かな表現力で演じており、栗山千明のネームバリューや注ぎ込まれたであろう予算を勘案すると「もっと売れてよい」という印象を抱きます。

 かつては、映画やドラマの主題歌を主演女優が歌ってヒットするケースが多くありました。薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」は最も衝撃的で、気品ある美しい楽曲に乗せた清楚な歌声が鮮烈でした。CMソングを女優が歌ってヒットした斉藤由貴のようなケースも最近あまり見ない気がします。近年「ポップ・シンガーとして成功した女優」が激減しているのではないでしょうか。現在活躍している女優で、コンスタントに高いCDセールスを記録しているのは、柴咲コウぐらいしか思いつきません。

 栗山千明のCDがなぜ大ヒットしないのか、と考えると、それは単純に、市場で求められていないからだと思います。栗山千明のファンが求めているのはテレビや映画での美貌や華麗な演技であり、彼女が演じる「そのまんま椎名林檎」なボーカルやオートチューンで加工されたボカロめいた歌声の入ったCDは求められていない、ということでしょう。さらに、9mm Parabellum Bulletのファンなどには「この栗山千明の曲、卓郎に歌ってほしい」というジレンマさえ生まれます。作家として参加したアーティストのファンにも、自身のファンにも、ギャップを抱かせてしまっているのが現状でしょう。

 この強烈な「これじゃない感」と「本業以外のことをやらされている感」が「女優の歌」が売れない原因であり、同時に、特有の魅力なのだと思います。

 それでは「すでに歌手デビューしている女優」と「これから歌手デビューしてほしい女優」を分類して、「女優とポップ・シンガー」について少し考察したいと思います。

 すでに歌手デビューしている人気女優として、まず挙げたいのが新垣結衣です。07年に主演映画の主題歌「メモリーズ」を収録したアルバム『そら』でデビューしていますが、初回限定盤のジャケットに採用された自筆のイラスト(サイケデリックな色使いで描かれた謎の爬虫類)が強烈すぎて、そのキュートな歌声についてあまり言及されていないのが残念です。

 今や国民的女優となった綾瀬はるかも06年に歌手としてデビューしています。これまで4枚のシングルをリリースしていますが、MY LITTLE LOVERやEVERY LITTLE THINGを思わせるちょっと懐かしいテイストのバラードが多く、透明感あふれる歌声とよくマッチしていて、イメージを裏切りません。

 期待の若手女優、武井咲は11年12月に「恋スルキモチ」というシングルをリリースしています。GLAYのTAKUROが書き下ろした切ない恋心を描いた冬のバラード。私はファースト写真集を発売日に買ったほどのファンなのですが、「彼女の魅力は高慢さがにじみ出た貌と鼻にかかった幼い声質とのギャップにあり」と考えていたので、歌手としての活躍にも大いに期待しました。しかし、この曲のクオリティは実に凡庸で、「ベイビ、ベイビ、ベイビ」という歌い出しで「あー、これTAKURO全然やる気ないわ」と瞬時に判明する駄曲です。これ以降、武井咲のCDは出ておらず、残念ながら歌手としての活躍を見ることはできていません。

     
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