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セックスを高らかに歌い上げるAcid Black Cherry その「エロ」路線はなぜ成功したのか

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Acid Black Cherry
Janne Da Arc
ヴィジュアル系
藤谷千明
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 「セックスドラッグロックンロール」とはよくいったものだが、近年の邦楽チャートを見ると、ドラッグはともかくセックスからも遠ざかっているロックバンドが多いような気がしてならない。それが良いことなのか悪いことなのかわからないが、筆者の個人的な感覚だとゼロ年代の青春パンクブーム以降それはずっと続いている。

 アルバム曲ではその限りではないのかもしれないが、シングルカットされる歌詞は、雑なまとめかたをすると現状打破を鼓舞するものだったりアイデンティティや内面の問題についてだったり、とにかく自分自身についての内容のものが多いのだ。R&B系女性ソロシンガーがめんどくさい恋愛を切々と歌っているのとは対照的に。もちろん、「(めんどくさい)恋愛やセックスを歌わない」からこそ老若男女問わず多くのリスナーに支持されるというのもあるだろうけど。もう邦楽ロックで恋愛とセックスを歌っているのはサザンオールスターズしかいないのではという気すらしてくるのだが(あとは強いて言うなら湘南乃風と面影ラッキーホール?)、そんな中、ド直球のセックスソングを歌い上げながらも、メジャーチャート上位常連の男性ロックボーカリストがいる。それがAcid Black Cherry(以下ABC)のyasuだ。

 ABCはJanne Da Arcのyasuのソロプロジェクト。1stシングルから『SPELL MAGIC』(07年)、続いてリリースされた『Black Cherry』(07年)とタイトルからだいたい察していただけるだろうが、「エロ」をコンセプトに活動している。テレビ露出はほとんどしていない中、昨年リリースされたアルバム「『2012』」はオリコンチャート1位を記録し、代々木体育館を即日ソールドアウトしてしまうほどの人気を誇っている。

「SPELL MAGIC」

「Black Cherry」

 現在47都道府県ツアー中で、ライブのサポートを務めるのはΛucifer/DUSTAR-3のYUKI、La'cryma ChristiのHIRO(Gu)、SHUSE(Ba)、SIAM SHADEの淳士(Dr)という、yasu本人も含めて90年代から活躍し、技術的にも評価の高いプレイヤーばかりだ。

 ABCを知らない人から見ればこのメンツを見て「ああ90年代ヴィジュアル系ファンのアラサーから人気なのね」という印象を持つかもしれない。

 しかしそういう層だけではなく、冒頭の通り今日日大人の恋愛を歌う男性ボーカルが珍しいからなのか、着うた系ソングを好む若いOLやギャルという新たな客層を取得している、そしてギャル男・ホスト層からも支持されておりその結果ギャル男の総本山、渋谷109MENSにyasuの巨大ポスターが出現したこともあった。Vホス系(V系+ホスト)雑誌『メンズスパイダー』の表紙をかざったこともある。

     
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