>  >  > アジカンが愛される3つの理由

10周年イベントで6万人動員! アジカンが愛される3つの理由

関連タグ
ASIAN KUNG-FU GENERATION
10周年
オールスター感謝祭
ファン感謝祭
ライブ
横浜スタジアム
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 アジアン・カンフー・ジェネレーションのデビュー10周年記念ライブ2days『ファン感謝祭』『オールスター感謝祭』が9月14日・15日に横浜スタジアムで開催された。『オールスター感謝祭』が行われた15日は台風18号が接近中で、フジロック並の装備が必要な豪雨だったが、昼間には天候が回復。終演まで空模様が荒れることはなく、天気まで彼らを祝福しているようだった。

 ファン投票によってセットリストが決められた『ファン感謝祭』は、『崩壊アンプリファー』から『ソルファ』までの初期人気曲が中心の豪華フルコース。そして2日目の『オールスター感謝祭』は、アジカンを支えてきた豪華ゲストらとの共演はもちろん、『ファンクラブ』から現在までの楽曲が多くプレイされるなど、濃厚な一夜となった。

 アジカンはデビュー当時からテレビへの露出が少なく、いわゆる“一般層”に向けた派手なプロモーションはしてこなかった。そんな彼らがスタジアム級のお祭りを成功させたことは偉業と言えるだろう。その“愛されっぷり”に驚いた人も少なくないはずだ。ここでは、アジカンはなぜ愛されるのか、3つの理由を分析したい。

 まず挙げられるのは、アーティスト同士の強いつながりだ。彼らは『NANO-MUGEN FES』の開催や自主レーベルの設立を実現し、多くのバンドと共演することで、邦洋問わず交友関係を作ってきた。今回の『オールスター感謝祭』でも、古くからの友人であるホリエアツシ(ストレイテナー)、細美武士(the HIATUS)が登場。アジカンと思い出話を交わしつつ、アジカンの曲や自身の持ち歌を披露した。彼らはデビュー前からの付き合いだというが、10年の月日を経ても同じステージに立っていることからは、信頼の厚さがうかがえた。

 その後、元weezerであるマット・シャープ(レンタルズ)が現れ、「Only in Dreams」を協奏。ゴッチが長年愛用しているギター、マローダー(weezerのステッカーが貼ってある! )で演奏を行い、感無量の様子だった。憧れであるバンドマンのブッキングに成功しただけではなく、そのバンドと共演し、末永い付き合いを実現させてしまう――その積極性もアーティスト仲間に愛される理由と言えそうだ。

 ふたつ目の理由は、ファンと熱心にコミュニケーションをとっていること。メンバー4人のうち2人がTwitterアカウントを持ち、頻繁にツイート。オススメの洋楽や東京インディ・シーンを紹介するだけではなく、ファンと大喜利のように談笑したり、意見を発信したりしている。また『マジックディスク』発売の際は、ファンとメンバーそれぞれが好きな音楽を共有する実験的なサイトを提案。そして今回のMCでは、リスナー視点で音楽への感謝を語っていた。アーティストでありながらリスナー感覚を忘れず、ファンと近い距離感を保っていることも、アジカンの魅力のひとつだ。

 最後に忘れてはいけないのが、彼らの音楽性。エモーショナルで厚みのあるロック・バンドでありながら、多くの曲が“Aメロ、Bメロ、サビ”という、きわめてシンプルな構成となっている。それでも単調な印象にならないのは、きめ細やかな音作りと多彩なボーカル・アプローチの効果だ。このような、聴きやすく、かつ飽きさせない楽曲で、アジカンは着実にファンを増やしてきた。シンプルなのはライブも同様で、独特の決まりごとがないため、拳を突き上げたり、クラップしたり、合唱したりと、ビギナーにも敷居が低い。

 しかし、そのシンプルさとは反対に、ゴッチの詞は重い。コミュニケーションという日常的なテーマから始まり、9.11や原発・震災まで、ずっしりとしたメッセージが込められている。アジカンは、ただ曲で踊らせるだけではなく、オピニオン・リーダーとして人々を共感させ、突き動かしてきたのだ。

 マット・シャープが「たくさんの人を楽しませることが本当の成功だ。アジカンは世界中に幸せを届けてくれているから、素晴らしい成功を収めているんだ」とスピーチしたように、アジカンは多くの人を楽しませ、音楽による幸せを"共有"することで成功してきた。今回分析した内容はほんの一部で、アジカンにはまだまだ愛される理由が数えきれないほどあるだろう。この続きはリスナー自身が確かめていってほしい。

 結成から18年、デビューから10年。ファンと、仲間と、アジカンとそれぞれが良き縁を結び、発展し続けることを祈らずにはいられない、特別な夜だった。

■梶原綾乃
駆け出しライター22歳。編集やフリーペーパー制作をしたり音楽配信サイトOTOTOY、レーベルOnly in Dreamsでも不定期的に執筆活動中。Twitter

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版