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掟ポルシェが語る「アイドル界の未来」(第3回)

掟ポルシェが語るハロプロの真価 つんく♂サウンドの「特殊性」とは?

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20130827-okite.JPG アイドル界の論客としても知られる掟ポルシェ氏が、シーンの最前線を語る集中連載第3回。今回は、氏がかねてより絶賛しているハロー! プロジェクトの魅力について、音楽性、キャラクターという二つの観点から分析してもらった。

第1回:ハロプロはソフトレズ容認へ!? 掟ポルシェが語る『アイドルと恋愛』
第2回:BABYMETAL、BiS階段...「規格外のアイドル」が次々登場する背景を掟ポルシェが分析

――最近、モーニング娘。℃-uteなど、ハロプロ勢の評価が高まっています。

掟ポルシェ(以下、掟):00年代の初頭頃、モーニング娘。は国民的人気を獲得していました。本隊だけでなく、ミニモニ。やタンポポなど、多くのハロプロユニットを成功させたことによって、アイドル冬の時代と言われる、歌うアイドルの人気が低かった十数年間を払拭して、このジャンルに新規参入ファンを大勢取り込んでアイドル歌謡界を復興させた功績は何より大きかった。ハロプロをテレビで見ない日がなかった時代は一度落ち着きましたが、それでもつんく♂さんはかなりの打率でアイドル歌謡曲の佳曲を作り続けていました。その後、AKB48PerfumeももいろクローバーZなど、アイドルに興味のなかった人たちをも熱狂させるアイドルが登場し、種種雑多なアイドル歌謡曲をフラットに見られる今日のような状態になったとき、つんく♂さんにしか出せない独自の味、時代を担うクリエイターとしてあるべき特殊性と異常性に、ようやくみんな気付いてきた、ということかと思います。

――というと?

掟:他のアイドル歌謡曲にはない、特徴的なオリジナルの手法がいくつもあって、一聴してつんく♂サウンドとわかるんですよ。よく言われる歌割りの細かさなどはその一例として顕著です。歌の基本は短いソロパートの連続になっていて、小節ごとに歌い分けるどころか、曲によっては吐息だけのパートのメンバーがいたり。グループアイドルにあって、各メンバーの声の魅力を知るには、ソロパートの連続で曲を構成されているのが重要なんだと、俺はつんく♂歌謡で思いましたね。しかしながらAKB48があえて基本ユニゾン(=同じメロディを全員で歌うこと)で歌っているのは、俺は秋元さんがつんく♂さんのやらないことをやっていった結果だと思っています。曲の作り方自体は、つんく♂さんはわりと古典的だと思うんですよ。歌謡曲の場合、三曲くらい元ネタがあって、それを合わせてひとつのものにするっていうやり方が常套手段ですが、同じことをやってもつんく♂さんという人間のフィルターがすごく特殊な故に、引用元とまったく違った曲になることが多い。この曲とこの曲とこの曲を合わせて、なんでこういう風に仕上がるの?と。例えば℃-uteの「大きな愛でもてなして」は、ジューシー・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」を元ネタにしているとご本人が以前おっしゃってましたが、まったく別な曲として聴こえる。元ネタ曲とは別なポップなものにしてしまう力が凄い。つんく♂さんという人間のフィルターが天才であり独特で、なかなか他のアイドル曲のクリエイターでは替えが効かない存在だということに、世間が気づき始めたんだと思います。

℃-ute「大きな愛でもてなして」(アップフロントワークス)

――00年代半ば以降のつんく♂さんは、正当な評価を受けているとはいえない状況がありました。

掟:つんく♂さん自身は、アイドル歌謡曲というスタンスで面白いことをやりたいという、同じ基本を続けているだけなんだと思うんですよ。アイドル歌謡曲は最新モードの流行音楽を採り入れて、引用したジャンルの洗練を借りるということもよくやります。2000年頃のつんく♂さんは、当時お洒落なポピュラーミュージックの代表だったR&Bをよく採り入れていた。しかしR&Bはうまく歌うことを求められる音楽であるが故に、アイドルとR&Bとの組み合わせだと、R&B側にアイドルの外連味の魅力が飲みこまれてしまいがちになる。アイドルとは何かといえば、一言で乱暴に言い表せば「可愛い」という言葉に置き換えられる。そして可愛いということは、拙いということと似ているところもあり、成熟した歌唱力を求められるR&B歌謡は、その真逆に向かう表現方法であるために、アイドルファンのニーズとすれ違いがあったのかもしれません。

     
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