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掟ポルシェが語る「アイドル界の未来」(第2回)

BABYMETAL、BiS階段…「規格外のアイドル」が次々登場する背景を掟ポルシェが分析

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――なぜ以前は、そういう振り切り方が難しかったのでしょう?

掟:アイドルは本来清廉潔白なものであるべしという、制約が多いジャンルなんですよ。芸能事務所の上層部の人の頭の中にその制約はあって、アイドルがアイドルらしからぬことをやるのに否定的、というか、単純に理解できなかったんですよ。アイドルが増えすぎて差別化のため、楽曲の個性を振り切る必要が出てきて、その制約が突破された。それに、現在ではほとんどのアイドル歌手が芸能と切り離されたのも、アイドル歌謡曲の自由度が上がった一因です。以前はアイドルといえばテレビ番組で歌うものだったのが、現在ではイベント中心の活動形態になり、テレビに出る芸能人になることだけがアイドルの成功ではなくなった。故にテレビコードみたいなものを想定する必要がなくなったのも大きいんじゃないでしょうか。

――あるジャンルのすごい人がアイドルと結びつくケースは増えていますね。

掟:BABYMETALは一番いい例ですよね。COALTAR OF DEEPERS、特撮のギターNARASAKIが最近では曲を書いていますが、彼はデスメタルやグラインドコアにも精通していますし、曲によってはメロディック・デスメタルのアーチ・エネミーの元メンバーであるクリストファー・アモットがギターを弾いたり、そのジャンルの本物がバックを担当するという事態が起こっている。付け焼き刃ではなく、アイドル+メタルを一貫してやり続ける姿勢が運営にある。「こんなのデスメタルと言ってほしくない」という拒否反応も当然ありますが、逆にyoutubeで動画を見た海外のメタルファンからの支持もあり、広く音楽ファンに受け入れられて、ライブでの動員を増やしてきています。

――そういう風潮はいつぐらいから顕著になりましたか。

掟: 5年くらい前に、アイドルのプロデュースについて事務所さんから相談されることもよくあったんですが、たとえばデスメタルみたいな音楽を完全に振りきってやるアイドルが出てきたら面白いですよね、と提案してきましたけど、その時は皆さん及び腰でしたね。アイドル戦国時代と言われるようになってから、特色づけのために音楽性を振り切る必要が出てきて以降のことだと思います。それに、BABYMETALみたいな特殊な音楽性のアイドルグループを作るには、プロデューサーが本当にその音楽を好きじゃないと、絶対にうまくいかない。BABYMETALはKOBAMETALさんという、本当にメタルが好きでしょうがない人がプロデュースしていますから。

――なぜ、そういうことができるアイドルプロデューサーが増えたのでしょう。

掟:予算の問題もありますよね。アイドルのCDが売れているとはいえ、昔に比べれば遥かに制作費も少なくなって、事務所が若いクリエーターに音楽性を一任することが多くなったから、音楽の自由度が高い面白いものが出てきやすくなったということでしょうね。元来アイドルはアイドルらしい清純な曲でデビューし、加齢とともに大人の女の恋を歌って、女優などへ転身していくものだった。でもそういった芸能としてのアイドルの通り一遍の筋道が、コンセプト重視の現代のアイドルには当てはまらなくなっている。芸能頭ではもうアイドルビジネスというものはわからなくなり、若い担当者に権限が与えられるようになったということかと思います。アイドルの本質は、ここ数年良い意味で変わりましたよね。非常階段がアイドルのバックをやっているなんて、やっぱり狂ってるし、本当にすごい時代になったものだと思いますよ。基本的に俺はアイドル歌謡曲を音楽として聴いていて、音楽というものは刺激であるべきだと思っているので、今の状況は面白いと思います。

次回「掟ポルシェが語るハロプロの真価 つんく♂サウンドの『特殊性』とは?」につづく

(取材・文=編集部)

      

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