>  > 「潮騒のメモリー」と小泉今日子の“秘史”

20年ぶりの大ヒット曲「潮騒のメモリー」に隠された、小泉今日子の歴史とは?

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潮騒のメモリー
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『潮騒のメモリー(初回限定紙ジャケ仕様~アナログEP風レトロパッケージ)』(ビクターエンタテイメント)ジャケット画像

 天野春子(小泉今日子)「潮騒のメモリー」。7月20日に着うたなどで先行配信が開始され、現在(8月1日)のところ週間チャートで2週連続1位、7月の月間チャートでも1位。7月31日にリリースされたCDは、フラゲ日デイリー3位、発売日デイリー2位と上昇中。ここまでの爆発的ヒットは予測できなかったのだろう、CDショップの店頭では軒並み売り切れという報告もされている。小泉今日子、約20年ぶりの大ヒット曲の誕生である。

 言うまでもなく、「潮騒のメモリー」は朝ドラ『あまちゃん』の中で物語上の重要な仕掛けとなってきた、鈴鹿ひろ美による1986年のデビュー曲。劇中で春子がスナックのカラオケで歌い、アキとユイがお座敷列車やアマーソニックで歌い、物語が東京編に入ってからレコーディング時における秘密が明かされた。2013年、それが天野春子の名義でアナログEP盤風のパッケージとしてリリースされること自体が、ドラマのファンに大きなカタルシスを与えるという、とても入り込んだメタ構造を持った作品だ。

 小泉今日子がドラマでの役名で楽曲をリリースするのは、実はこれが初めてではない。1984年、ドラマ『あんみつ姫』の主題歌「クライマックス御一緒に」を"あんみつ姫"名義でリリース。小泉今日子はそれに続く9枚目のシングル「渚のはいから人魚」で初のオリコン1位を獲得、その年の紅白歌合戦に初出場することになる。彼女のキャリアにおいて"あんみつ姫"名義の企画物シングルは、当時の健康的でチャキチャキしたキャラクターのイメージを世間に浸透させる上で、非常に重要なステップとなったのだ。

『KYON3』(ビクターエンタテインメント)収録

 「9枚目のシングルでオリコン1位」。そう、今では聖子や明菜と並ぶ80年代トップアイドルの1人と紹介されることの多い小泉今日子だが、その人気が爆発するまでにはデビューから2年という、シングルリリースの間隔が短い当時の基準で言うと決して短くない年月を要した。デビュー曲「私の16才」は森まどかのカバー。セカンドシングル「素敵なラブリーボーイ」は林寛子のカバー。"花の82年組"と呼ばれる同期のアイドルたちが本人のキャラクターを的確に反映させたオリジナル曲でスマッシュヒットを飛ばす中、小泉今日子はオリジナル曲をもらえるまでデビューから半年もかかった。結局デビューができなかった『あまちゃん』の天野春子ほどではないにせよ、ある時期まで「おざなり」にされてきたアイドルだった。「元トップアイドルが、結局日の目を見なかったアイドルの卵のその後を演じる」という視点で『あまちゃん』を楽しんでいる人も多いと思うが、あの天野春子には「もしかしたらそうなっていた姿」としてそれなりのリアリティがあるのだ。

     
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