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評論家・麻生香太郎が音楽業界のタブーに切り込む! 集中連載第4回

「ボカロPよ、芸能界に囲い込まれるな」ベテラン評論家が、スキャンダル対策を指南

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 ソニーがJ-POPを殺した――そんな過激な見出しで、音楽業界のタブーに切り込んで話題を呼んだ『誰がJ-POPを救えるか? マスコミが語れない業界盛衰期』(朝日新聞出版)の著者・麻生香太郎氏が、音楽業界の抱える問題点を語る集中連載第4回。
【第1回目】「大手マスコミと芸能界を結ぶ「太い利権」が、ジャーナリズムを殺した」
【第2回目】「『レコ大』審査員は利権まみれ! 日本の音楽評論家が信用できないワケ」
【第3回目】「嵐やAKBの歌は、なぜユニゾンばかり? ハーモニーを忘れたJ-POPに必要なモノ」

現状の音楽シーンでは、類まれな才能を持つ人は生まれていないということでしょうか。

 そうは思いません。ただ、レコード会社の側が生まれる才能を活かし切れていない、とは言えると思います。例えば数年前、「スプツニ子!」というアーティストが話題になりました。ロンドン在住で、大学の仲間に力を借りて、プロ顔負けの楽曲をYouTubeにアップしていた理系女ですね。頭が良すぎて、副次的に趣味でGoogleの歌とかmixiの歌とか書いていた人です。表現したくて、表現したくて仕方のない人も探せば世界にはいるんです。「カラスボット☆ジェニー」なんか素晴らしいです。ボクの今年前半のベスト曲です。

スプツニ子!/「カラスボット☆ジェニー」

 だからボクは、レコード会社に人にボクのiPhoneで、youtubeの動画を直接見せながら(感動の伝言ゲームの実践ですね)「この子は絶対に、取りに行ったほうがいい」と薦めた。みな彼女が作ったPVを見て「すごいね」とは言うのですが、実際に行動を起こした人はいませんでした。ああいうアーティストこそ、カネをいくらかけてでも捕まえとかないといけないのに、結局、ボストンへ行っちゃった(MITのアシスタントプロフェッサーとしてクラスを受け持つことになりました)。日本のレコード会社は、いったい何をしているの、と思いますね。才能がいるのに取り逃がしている。これまで成功体験のないタイプ(理系?)の人材には、手が出せない。この危機感のなさ!

 なんでも最近のレコード会社のディレクターたちは、自分の担当以外のライブに足を運ばないそうですね。何をしているんでしょう。昔は会社総出で出かけたし、他社のアーティストも見に行って、横のつながりで情報交換したものです。デスクにかじりついていたら、良いアーティストに出会うことなんてできません。

 ボクはかつて、本土以外の、遠い地域出身の歌手たちが活躍したときに、「辺境歌姫」の時代と呼んでいたことがありました。元ちとせ、夏川りみ、一青窈、MISIA......。流行りの邦楽に触れる機会の少ない辺境で、その土地の島唄を、裸足で大地を踏みしめて歌っている女の子――カラオケやテレビの歌番組に毒されていない子。そういう子たちをもっと連れてきたらいい。父島、母島、南鳥島、小笠原諸島、佐渡ヶ島、北方四島......など。逸材はアイドル歌謡に染まっていない場所に必ず埋もれているはずです。

 あと、東南アジアの小国。インドネシア、ブルネイ、ネパール、フィリピン、イラク、イラン......。あの辺には、民族音楽をやっていて、「あの子はうまいね」と近所では評判になっている子がいるはずです。発声音量のすごい子、4オクターブ出る子、すぐハーモニーが上の音でも下の音でもとれる子。その子たちをスカウトして、日本語を覚えてもらって......という気合の入ったアーティスト育成を、なぜレコード会社は考えないのでしょう。今の平和ボケの、アイドル歌謡を小さい頃から耳にしてしまった世代からは、新しい才能は出てくるはずがない。一時期、沖縄ブームがありましたが、あれはいいことでしたね。......青田買いの結果として、ハゲ山になってしまいましたが(笑)。

     
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