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評論家・麻生香太郎が音楽業界のタブーに切り込む! 集中連載第3回

嵐やAKBの歌は、なぜユニゾンばかり? ハーモニーを忘れたJ-POPに必要なモノ

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麻生香太郎
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 ソニーがJ-POPを殺した――そんな過激な見出しで、音楽業界のタブーに切り込んで話題を呼んだ『誰がJ-POPを救えるか? マスコミが語れない業界盛衰期』(朝日新聞出版)の著者・麻生香太郎氏が、音楽業界の抱える問題点を語る集中連載第3回。
【第1回目】「大手マスコミと芸能界を結ぶ「太い利権」が、ジャーナリズムを殺した」
【第2回目】「『レコ大』審査員は利権まみれ! 日本の音楽評論家が信用できないワケ」

雑誌の売れ行きが低迷する一方で、テレビ離れも進んでいます。

 かつて人気を博した音楽番組も、次々に終わってしまいましたね。今やっている番組も、どうにも惜しいと感じます。フジテレビの音楽番組プロデューサー・きくち伸さんが生演奏にこだわる『僕らの音楽』(フジテレビ)はとってもいい番組だと思うけれど、ヒット曲のない新人は出られないでしょう。やはり、新人がどんどん出演できる番組がないと、音楽シーンの活性化にはつながらない。今、若者は誰もテレビの歌番組を見ていないと思いますよ。逆に定年層は毎日、テレビ浸りの生活だそうです。カネを使わずに楽しめる娯楽はテレビしかない。「こんな曲、あったね」と懐かしがって観てくれるほうがいいので、作り手もそれに合わせる形態を志向するようにどんどん悪循環してしまっている。中途半端にトシとった昔のアイドルを若い世代は見ても意味がわからない。こうやってどんどん負のスパイラルに陥っている。

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Illustration:やべねこ


 新人の場合、必ずタイアップを何か付けてプロモーションをするのですが、CDの売上はたいして見込めない現実があります。だからもう、著作権(録音使用料)はフリーにしてしまって、無料でダウンロードできるようにしたほうがいいと思います。そして、カラオケなどの演奏使用料(二次使用料)や、ライブ、グッズ販売で回収すればいい。というか、そうするしかないし、既にそうなっている。

CDが売れなくなっていること自体には、ネットの普及やユーザーの視聴パターンの変化などの要因も大きいと思われますが、アーティスト側にも何か要因はあるのでしょうか?

 今、MTVで日本の新人を見ていても、"突き刺さらない"じゃないですか。歌詞にしてもなんにしても。先日、男女2人が主演を務める韓国のミュージカルを観て、彼らの歌のうまさに驚いたのですが、韓流のファンに聞くと、人気のあるアーティストではないのだそうです。「知名度が低くても、これだけうまいのか」と、つい考えこんでしまいました。日本は1945年終戦のときから60何年もずっと、道を間違えていたのか――と。

 アイドル歌謡がスタートしたのは、CBSソニーが1968年にできて、作家がフリーランス制になった70年代。自由な彼らは、当時のアメリカン・ポップスに、口語の現代的な歌詞をくっつけてアイドル歌謡というジャンルを成立させました。この辺は『誰がJ-POPを救えるか?』に書いた通りです。ただ、そのエポックメイキングな音楽潮流が変化する大事なときに、われわれは、日本には演歌歌手という「歌のうまい人の文化」があったがために、アイドル歌謡に関して「かわいければ、いいんじゃない?」という国民的な了承をしてしまった。あそこが運命の分かれ目で、歌のうまさには目をつぶってルックスを優先させる戦後J-POP史が延々と続いてきたわけですね。韓国なんかはシビアですよね。歌が下手だったら、"歌手"にはなれません。ブーイングが飛んできます。だが、日本でブーイングを聴いたことがない。

     
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